ステーブルコインがこれまでで最高水準の購買力を備えていることから、今後の強気の兆候の一要素として捉えられるようだ。

仮想通貨(暗号資産)データ提供企業グラスノードは、ビットコイン(BTC)の時価総額を全てのステーブルコインの時価総額で割った値「ステーブルコイン供給比率(SSR)」が低水準にとどまっていることから、ステーブルコインがビットコインを購入する力が強まっており、これが強気の兆候であると主張している

SSR = ビットコイン時価総額 / ステーブルコイン時価総額

SSR, Bitcoin price and market capitalization

(出典:グラスノード「ピンク:SSR、黄緑:ビットコイン価格、濃い緑:ビットコインの時価総額」)

現在、SSRは15ポイントをわずかに上回っている。これは理論的には全てのステーブルコインを使えば、全ビットコインの15分の1を購入できることを示している。SSRは2018年3月時点では88だった。わずか2年でステーブルコインの購買力が6倍以上に増加した。

ステーブルコインの成長とビットコインの停滞

SSRの計算式にはビットコインの時価総額とステーブルコインの時価総額の2つの変数がある。SSRの減少の要因はどちらの変数に原因があるのだろうか。

チャートを見ると、今回のSSRの減少の要因はステーブルコインの成長によるものであることがわかる。以前、ビットコインの時価総額は1950億ドル(約20兆円)だったが、現在は1710億ドル(約18兆円)と12%減少した。一方、ステーブルコインの時価総額は22億ドル(約2360億円)から110億ドル(約1兆1800億円)と5倍に増加した。

ステーブルコインの保有は投資家にとって便利な手段となっている。

現金化して仮想通貨エコシステムを終わらせることなしに、仮想通貨を安定した資産として預けておくことができる。

最近の調査によると、BTC/USDTペアをサポートする仮想通貨取引所はBTC/USDペアをサポートする取引所よりも多くの「クジラ(大口)」取引があることがわかっている。

崩れた相関

ステーブルコインの時価総額は急速に増加しているが、ビットコインの価格は追いついていない。SSRから、ステーブルコインとビットコイン価格の相関関係は3月の大暴落「ブラック・サーズデー」で崩れたように見える。

ステーブルコインの成長が次の強気の始まりになるかはわからない。しかしもし上昇が起こった場合、ステーブルコインの成熟度は市場参加者に有効なメカニズムを提供するだろう。

一般的に仮想通貨市場が保ち合いとなっている間、ビットコインのトレーダーは一時的にテザーに交換する形で資金を保管する傾向がある。ビットコインの押し目買いや、相場が強気に反転したことを確認した後にテザーに保管している資金が市場に流入する可能性があるだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン