米国の仮想通貨規制は「抑制的であるべき」であり、全てが金融的な用途を持つとして技術を規制するべきではないと、米証券取引委員会(SEC)の委員の1人が主張している。

6月29日に、ヘスター・ピアース委員がオーストラリア・ブロックチェーンウィークにリモートで参加した。ピアース氏はSEC内でも仮想通貨に融和的な姿勢から「クリプトママ」とも呼ばれている。彼女がどのように仮想通貨を規制するかについて問われ、「私たちは、どんな規制枠組みでも、全てが金融資産であると仮定しないように確認しなければならないと考えている」と語った

ピアース氏は、仮想通貨が「非常に金融的な観点」から考えられている一方で、中央集権的なエンティティを必要とせずに人々が相互作用することを可能にするといった他の用途も存在すると説明した。

「それは金融的な文脈で有用だが、ソーシャルメディアプラットフォームを構築する等、他の使われ方もある」と彼女は語った。

ピアース氏は、法的な枠組みは「抑制的なアプローチ」を取るべきだが、「十分な明確性を持つべきだ」とし、人々が新しいことを試すことを可能にすべきだと考えている。

「仮想通貨とブロックチェーンの新たな用途を適応させないほどに硬直的な枠組みを設定しないほうがよいと言うことができる」

多くの人々が批判してきたSECの現行のアプローチに対して、ピアース委員は法律は「抑制的でなければならず、突然、5年後に一連の強制措置を実施する規制者が現れるわけではない」と述べた。

仮想通貨に対する融和的姿勢について問われたピアース氏は、SECは「もっと良いことができる」と考えており、自由に発言できないなら「なぜ私がその立場にいるのかわからない」と語った。

「仮想通貨はイノベーションに対する私たちのアプローチを再考する機会を与えている。私たちは適切でないアプローチをとってきたと本当に思っている」と彼女は語った。

FTX崩壊とその後に発覚した不正行為のことを暗に想定しつつ、ピアース氏は仮想通貨業界に自己規制を行い、相手方のリスク、利益相反、そしてレバレッジに注目するよう勧告した。

「それらは政府の規制者があなたに行うように指示する必要のない事項であるが、私は政府の規制者がその中で役割を果たすことができると思っている」。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン