仮想通貨投資信託で最大手のグレイスケールは、ビットコインETF(上場投資信託)のリリースに向けて再び動き出した。

5日に発表されたロードマップによると、同社の投資信託であるビットコイン投資信託(GBTC)とイーサリアム投資信託(ETHE)がETFに転換する意向を示した。ただ同社は米証券取引委員会(SEC)に申請を行うといった具体的な動きを見せていないことから、今回提示されたスケジュール通りになるかは不透明だ。

グレイスケールは伝統的市場に仮想通貨のエクスポージャーを提供する大手企業だ。投資信託はビットコインやイーサリアム、ビットコインキャッシュなどがあり、原資産の価値を反映する株式を発行している。

同社が発表したロードマップによると、各信託のETFへの転換は4つの開発段階で進むようだ。1つ目は「私募」の段階で、信託は会社との店頭取引でのみ売買が行われる。現在ここにはベーシック・アテンション・トークンやチェインリンクなど8銘柄が含まれる。

続く2つ目は、流通市場に上場された株式を対象としたもので、信託ファンドがティッカーシンボルを受け取り、一般の人々が取引できるようになることを意味する。現在は、ビットコインキャッシュ、ライトコイン(LTC)、イーサリアムクラシック(ETC)の4つの投資信託がこのカテゴリーに入る。

3つ目が「SECレポート」のステータスを獲得し、バランスシートと運営状況をSECに定期的に開示する。現在、SECに報告しているのは、ビットコイン信託とイーサリアム信託のみ。

そして最後が完全に規制された流動性を持つファンドであるETFへの転換だ。ETFは、米国の株式指数や資産のバスケットへのエクスポージャーとして一般的に使用されている。ETFは信託に比べて管理費が低く、幅広い運用が可能で、純資産価値に非常に近い形で追随するように設計されている。GBTCは、保有するビットコインの価値に対して、常に非常に大きなプレミアムをつけて取引されており、GBTCなどの投資信託は資産価値と乖離することも多い。

グレイスケールのETF申請ロードマップ

(出典:グレイスケール「ETF申請ロードマップ」)

GBTCのプレミアムは、最近ではペナルティを受け、現在は基準価額よりも10%低い水準で取引されている。このプレミアムを失ったことと、カナダのPurpose Bitcoin ETFとの厳しい競争が、グレイスケールの行動に拍車をかけた可能性がある。

グレイスケールが初めてSECにETFを申請しようと動いていたのは2017年ごろだ。当時からETFに関する話題はビットコインの価格上昇の原動力となっている。ただこれまでに、SECは仮想通貨に関するETFは全て却下するか、申請側が取り消している。承認されない理由としてはビットコインの規制インフラが整備されていないことや詐欺や価格操作の懸念などが要因と考えられている。

2021年に入り、ヴァンエックやウィズダムツリー、スカイブリッジといった企業が続々とビットコインETFを申請しており、今回はグレイスケールもここに加わった。同社はETFについて「規制環境によって時期が決まる」と言及しており、SECの判断がどう出るかはまだ不透明だ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン