ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOはこのほど、ニューヨーク経済クラブでブルームバーグが行ったインタビューで、仮想通貨を肯定する姿勢を再度示した。

 仮想通貨が「本物」になる可能性を問われたCEOは、紙幣が金貨や銀貨の代わりに採用されたのと同様に、ビットコイン(BTC)のような仮想通貨が普及する可能性があると答えた。

 ブランクファイン氏は貨幣の進化について言及しながら、紙幣と仮想通貨に共通する特徴を指摘し、両者に本質的価値はないと暗に語った。それにもかかわらず紙幣が普及した点に触れ、「コンセンサスを得た通貨があってもいいのではないか」とレトリックな質問を発した。

 ブランクファイン氏によれば、仮想通貨に「違和感がある」とか「なじみがない」といった理由で広く普及しないと考えるのは「傲慢過ぎる」という。

 昨年も同氏は同じような発言をしており、紙幣は最初信頼されなかったが、その後受け入れられたと語った。ビットコインは今は広く受け入れられていないが、将来、価値の交換手段として採用される可能性があるとほのめかした。

「しかし過去には、私にとってそれほどうまくいかないものもたくさんあった。20年後にうまくいっていれば、成功した理由を説明することはできる。しかし私が理解する限り、成功する可能性が高いと思っているわけではない」

 ゴールドマン・サックス全体としては、仮想通貨に対して懐疑的な姿勢で知られている。14年にはビットコインは通貨ではないという見解を出した。しかし昨年、機関投資家がビットコインなどの仮想通貨を無視するのが難しくなってきたと認めた。そして年末には、仮想通貨取引デスクを自前で開設する噂まで出回った。

 今年はじめに出したレポートでは反論していたにもかかわらず、同社は最終的に仮想通貨への関与を始めた。ビットコインは「詐欺ではない」とし、仮想通貨売買の計画を明らかにした。5月には、ゴールドマン・サックスが出資するサークルのアプリに「初心者」が仮想通貨市場に参加しやすくなる新たな機能が導入された。