ポリゴンの共同創業者であるサンディープ・ネイルワル氏は、現在の仮想通貨の状況は1990年代後半の「アメリカ・オンライン(AOL)時代」のインターネットと似ていると述べた。当時のインターネットは、技術的に複雑で、ユーザー体験も不便であり、ユースケースも限られ、通信速度はダイヤルアップに依存していた。
ネイルワル氏はコインテレグラフのインタビューで、ユーザー体験を向上させるための主要な開発分野として、法定通貨とのスムーズなオン・オフランプ、鍵の復旧機能を備えたカストディソリューション、そしてモバイル端末に統合されたハードウェアウォレットなどを挙げた。
「今の仮想通貨は、インターネットに接続するだけでミニ技術者のような知識が求められた“ダイヤルアップ時代”にある」と同氏は語った。
「我々は今、1998年あたりにいる段階であり、仮想通貨が本当の意味で完成された形になるには、あと10年から15年はかかるだろう」とネイルワル氏は述べている。
AOL時代のインターネット Source: PC Magazine
インターネットは大衆に普及するまでに30~40年を要し、当初は限られた用途しかなかった。1990年代末のAOL時代には、インターネットの主な用途はメールと簡単なウェブ閲覧に限られていたが、現在はインターネットが経済全体に広がっている。
ネイルワル氏によれば、現在の仮想通貨も同様の段階にあり、金融分野、特に市場投機が現時点での主要ユースケースとなっている。
しかし、金融ユースケースが十分に成熟し、普及が進めば、その先には分散型SNS、ブロックチェーンゲーム、その他のニッチ領域へと仮想通貨の活用は広がっていくとネイルワル氏は述べた。
仮想通貨はまだ黎明期
ネイルワル氏は、仮想通貨の基本的な金融ユースケースですら、まだ十分に構築されていないと指摘する。
2025年2月に発表されたビットコイン(BTC)金融サービス企業リバーの調査によれば、世界人口のうちBTCを保有しているのはわずか4%に過ぎない。ビットコインは最も時価総額が高く、最も一般に知られている仮想通貨であるにもかかわらずだ。
ビットコインの普及パス Source: River
同レポートでは、金融機関やターゲット市場、資産配分を考慮すると、BTCは総採用率のうち約3%しか達成していないとされている。
このように保有者数が限られていることからも、仮想通貨の大衆的な普及はまだ数年先であり、業界全体が「アーリーアダプター」段階にあることが示唆されている。