ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)のフェリックス・フーフェルト長官は、BaFinの主な役割は個人投資家の保護ではなく金融システム全体の安定性を維持することだと述べた。コインテレグラフドイツ版が12日に伝えた。
フーフェルト氏は、BaFinの役割に消費者保護はもちろん含まれるとしつつも、BaFinはシステム上のリスクにしか対処できず、全ての投資家を「彼らの運命」から守ることはできないと述べた。
「我々は昨年11月にICOについて警告したのもそれが理由だ。仮想通貨トークンのボラティリティは高い。我々は一人一人の投資家を彼らの運命から守る。それは国の監督機関の仕事ではない。繰り返しになるが、金融市場全体の安定性が脅かされたり、消費者全体が損害を受けた場合には、我々は規則に従って慎重に振る舞う。それが原則だ」
フーフェルト氏は、ブロックチェーンを破壊的技術だとする一方、今後、真価が問われることになるかもしれないと発言。1991年にマイクロソフトのビル・ゲイツ前CEOが、インターネットは過大評価されたまやかしだと誤った評価をして数年後にその評価を一転させなければならなかったという有名な話を引き合いに出した。
ビットコインとブロックチェーンがまやかしなのか、金融市場を大きく変える可能性のある力を持っているのかという問いにフーフェルト氏は結局答えなかったものの、全体としてはブロックチェーン技術に対して比較的ポジティブなイメージを描いた。
「ブロックチェーンの破壊的な可能性はコスト削減だけにとどまらない。あなたや私が今考えつかないような全く新しいビジネルモデルが生まれるかもしれない。毎日多くの人が、ブロックチェーンのさらなる用途を見つけ出し、広範囲でその技術を活用しようと励んでいる」
一方、仮想通貨に対しては依然として懐疑的な見方を示し、仮想通貨がマネーロンダリングやテロ資金供与に利用されうることは「最悪のケース」と述べた。また、BaFinは世界中の規制機関と連携・協力し、「国際基準と国際的な監督基準の形成」に向けて努力すべきだと続けた。
同氏は4月、BaFinテック2018会議の開会挨拶の中で、仮想通貨規制に関する慎重な対応を呼びかけた。ブロックチェーン規制は、ブロックチェーンがもたらすチャンスを潰すことなくリスクを抑えるものでなければならないと述べた。