米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長が、米議会下院の金融サービス委員会が開催する公聴会で、仮想通貨や人工知能(AI)を含む技術進歩に対応するための監督体制と規則の変更について説明する予定だ

事前に公表されたペーパーによれば、ゲンスラー委員長は、米国の証券規制当局が、2020年代の「技術とビジネスモデル」に合わせて規則を更新している方法を概説する。ペーパーの中では、SECが米国内の証券と取引所に対する広範な監督について言及されている。

特に注目されるのは、SECが仮想通貨業界に対するアプローチだ。これは、「執行による規制」アプローチが、米国でのイノベーションを阻害していると批判されている。

ゲンスラー委員長は、予測データ分析と仮想通貨という2つの新興技術に直接言及する予定だ。SEC委員長は、「暗号資産証券市場」に関与する投資家と発行者が証券法による保護を受けるべきだと強調するつもりだ。

ゲンスラー委員長は、1933年証券法の制定に言及し、米議会が証券の定義に30以上の項目を含める決定をしたと語った。その中には「投資契約」という言葉も含まれている。「私が以前に述べたように、個々のトークンにも予断を持つことなく、大多数の仮想通貨トークンはおそらく投資契約のテストを満たすだろう」とゲンスラー委員長は語る。

また、ゲンスラー委員長は、SECがほとんどの仮想通貨が証券法の対象であるとの見解を持っており、取引所やブローカー、ディーラーなどの仲介者もこれらの法律を遵守する必要があると下院金融サービス委員会で主張する予定だ。

SEC委員長は、業界全体が「証券法に対する広範な違反」を犯していると指摘し、これが数々の執行行動につながっていると書いている。ゲンスラー委員長は、SECが暗号資産証券市場セクターに対して規則制定を通じて対応しようとしていると付け加えた。

またゲンスラー氏によれば、予測データ分析とAIは「変革の時代」をもたらし、経済全体の効率を向上させた。この技術の可能性は、金融包摂とユーザー体験を向上させる一方で、悪用されるリスクも生じると言う。

「これはまた、例えば、アドバイザーやブローカーディーラーが自分たちの利益を投資家の利益よりも優先するように最適化している場合など、利害の対立が生じる可能性がある」とゲンスラー委員長は指摘した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン