米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は、9月12日の米議会上院銀行委員会の公聴会で、現在SECが人工知能(AI)技術を活用し、金融セクターにおける詐欺や不正操作の兆候を監視していると証言した。

ゲンスラー氏は7月のナショナル・プレス・クラブのスピーチで、AI技術をSECの不正監視に統合するた意向を示していたが、それまでSECが明確にこの技術を使用していることは公には知られていなかった。

キャサリン・コルテス・マスト上院議員はSECがAIをどのように利用するかについて質問したが、ゲンスラー氏は「すでに一部の市場監視や執行行動で使用している。市場のパターンを探すためだ。…それが、今年、2024年予算で議会により多くの資金を求めた理由の1つだ。新興技術向けの技術予算を増やすためだ」と答えた。

SECが通常業務の中でAI技術を活用していることは驚くべきことではないが、同委員会がその使用について公式な宣言を出していないことはやや驚きだ。2022年3月にバイデン大統領が署名したサイバーセキュリティ事件の報告義務を除けば、新技術の内部使用を公に報告する法的要件は米国内には存在しないようだ。

ゲンスラー氏が説明したところでは、SECのAI使用に関する詳細までは明らかではない。しかし、SECは金融市場内の参加者によるAIやアルゴリズム取引の使用について、数多くの分析報告を提出している。大量の情報を解析し、異常なデータを探し出すことが可能な機械学習アルゴリズムを同様に活用することは、委員会にとって理にかなっている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン