ゲームストップ(GME)の取引高が2021年のショートスクイーズを彷彿とさせる水準に達したことを受け、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は同銘柄に対してショートセール制限(SSR)を発動した。

トレーディングビューのデータによると、3月27日のGMEの空売りの量は24時間で234%増加し、3085万株に達した。

SSRは、株価が前日の終値から10%超下落した際に発動される規則で、当日は22%の下落を記録し、ビットコイン購入発表による12%の上昇分を帳消しにしてそれ以上に下落した。記事執筆時点では、GME株は22.09ドルで取引されている。

2021年の「伝説のスクイーズ」水準に迫る空売り量

SSRは当日と翌営業日に適用される。マローン・ウェルスのプレジデント兼CEOであるケビン・マローン氏は、3月27日のX投稿で「ゲームストップは先週木曜の50倍もの取引高があった。裸売りなしには統計的に不可能だ」と指摘した。

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ゲームストップの空売り量 Source: TradingView

今回の空売り量は、2021年1月に記録した3326万株というピークに迫る水準であり、当時のショートスクイーズによってヘッジファンドや空売り投資家が多大な損失を被り、一部の個人投資家が莫大な利益を得たことが知られている。

ゲームストップのビットコイン購入は「ドットコム的」

ゲームストップはビットコインの購入額を明示していないが、3月26日の市場終了後、13億ドル規模の転換社債発行を発表した

この決定については懐疑的な見方もある。3月27日にヤフー・ファイナンスのインタビューを受けたテイスタイライブの創業者トム・ソスノフ氏は「今回のビットコイン購入は、まるで自社名にドットコムをつけて話題性だけ狙うような動きに感じられる」と述べた。

ソスノフ氏は「キャッシュを活用する手段が見つからないからビットコインを買う、という話にみえる」ともコメントしている。

eToroの米国投資アナリストであるブレット・ケンウェル氏もロイターに対し、「投資家はゲームストップ本体の事業には必ずしも強気ではない」と語っている

過去最大の空売りはキース・ギル氏の再登場時

なお、空売り量が最も多かったのは2024年6月3日で、4620万株に達している。

この時期、2021年のショートスクイーズで名を馳せた個人投資家キース・ギル氏(通称Roaring Kitty)が、1億8000万ドルの資金を元手にゲームストップの再取引を開始したことが注目を集めた。

ゲームストップによれば、今回の転換社債の発行による資金は、ビットコイン購入を含む「一般的な企業目的」に使用される予定だ。

一部アナリストは、今回の株価下落は転換社債発表そのものが要因だと分析している。

アナリストのハン・アカマツ氏は3月27日のX投稿で、今回の下落がストラテジー(旧マイクロストラテジー)が2021年に0%金利の転換社債を発行したときと同じ構図だと指摘する。

「当時は発表直後に空売りヘッジで株価が一時的に下がったが、ビットコインが急騰したことで株価も跳ね上がった。今、GMEも同じ構図をなぞっている。GMEかBTCが大きく動けば、この取引は非常におもしろいスクイーズ局面になるかもしれない」と述べている。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。