弱気相場は、個人投資家を刺激して膨大な量のビットコイン(BTC)を蓄積させている。1BTC以上を保有するウォレットの数は最近、過去最高を記録し、10BTC以下のウォレットは記録を更新した。

しかし、こうした新参の「ホールコイナー」たちは、どこまで秘密鍵を自身で保有しているのだろうか。最近の中央集権的な取引所(CEX)の相次ぐ倒産は、ビットコイン愛好家たちに、第三者によるリスクから逃れるためにビットコインをコールドストレージに移すことを促したのだろうか。

グラスノードのリードアナリストであるチェックメイト氏は、データはこの疑問に対する結果を指し示した。「全体として、少なくとも短期的にはセルフカストディへの動きがあるように見える」とチェックメイト氏はコインテレグラフに語った。「一部はCEXの支払い能力への懸念があるのかもしれない」

「ここ数週間は取引所残高の月間減少幅が史上最大で、引き出し量は177.900BTC/月でピークに達している」

下図のグラフで赤色で示されているように、出金が加速している。

ユーザーが取引所からビットコインを引き出すことで、取引所の供給量に影響を与えている。取引所で利用できるビットコインの数は、「2017年12月以来、最も低い供給率(11.99%)に落ち込んだ」という。これは、過去12カ月間に流入したコインのかなりの量が流出したことを意味する」とチェックメイト氏は指摘した。

さらに、グラスノードのデータによると、取引所からの出金は「ここ数週間の全取引の30%」を占めている。それは、セルフカストディへの全体的なシフトを示唆するものだ。ビットコインはホットウォレットやコールドウォレットに送られている。

ビットコイン投資家が取引所から「出金」する場合、オフラインのハードウェアウォレットか、オンラインで管理するホットウォレットに移す。ハードウェアウォレットは、ユーザーの秘密鍵を管理するツールだ。人気のあるハードウェアウォレットには、Ledger、Trezor、ColdCardなどがあり、ホットウォレットには、Blue WalletやExodus Walletなどがある。

世界最大のハードウェアウォレットプロバイダーの1つであるTrezorのビットコインアナリスト、ヨゼフ・テテック氏は、過去1ヶ月でかなりの売上増があったという。テテック氏はコインテレグラフに対し、「Trezorデバイスへの関心とTrezor Suiteの新規ダウンロードが劇的に増加している。ここ数週間、我々の売上は歴史的な高さを記録している」

「通常、弱気市場は私たちにとって静かな期間なので、この売上高の上昇は、FTXとブロックファイの破綻がカストディアンサービスに対する人々の信頼にどれだけ大きな影響を与えるかを示している」