金融国際審議官で、金融安定理事会(FSB)の常設委員会議長に日本人として初めて就任した氷見野良三氏が6日、金融庁が開催した仮想通貨の監督ラウンドテーブルでフェイスブックの仮想通貨リブラは「規制当局や中央銀行を目覚めさせる」と発言した。
氷見野審議官は現時点ではリブラが実現可能かどうかは予測できないと前置きしつつも、リブラを目覚まし時計に例えて、その役割を説明した。
「目覚まし時計がなった時にどうするか?私はスヌーズボタンを押す。しかし、これは眠れる時間が数分伸びるだけだ。リブラでも同様のことが言えるだろう。リブラの目覚ましは規制当局や中央銀行の目を開かせ、彼らが直面する問題に対峙させようとしている。そして他にも多くの時計が次に鳴るのを待っているかもしれない」
氷見野氏は、こうしたリブラの問題について3つの例を挙げた。
1つ目は、銀行などは免許を持つという強みが薄れていること。一部のテック企業が決済情報を貸付以外に利用し、利益を生み出す方法を見つけているからだ。
2つ目は、紙幣の匿名性と不便さに着目し、現金はより便利でプライバシーが保護される決済手段に代わるとした。
最後に規制当局についてリブラが新しい形態の監督・規制当局を統合するという問題提起をしており、リブラのようなグローバルな活動をする決済手段には現状の規制当局とは異なる組織が必要だとの見解を述べた。