米国連邦裁判所は、仮想通貨取引所コインベース・グローバルの元プロダクトマネージャーで、インサイダー取引の疑いで告発されていたイシャン・ワヒ氏に対し、禁固24か月の判決を下した。

5月9日のニューヨーク南部地区裁判所における公聴会でロレッタ・プレスカ判事は、コインベースでの勤務中に得た機密情報を使用し、新規リストに掲載されたトークンから最大150万ドル(約2億万円)の利益を得たワヒ氏に対して2年間の刑を宣告した。ニュージャージー州のフォート・ディックス連邦矯正施設で刑を服するため、プレスカ判事はワヒ氏に対して6月21日午後2時(東部時間)までに投降するよう命じた。

ワヒ氏は元コインベースの社員で、兄のニキル・ワヒ氏と共犯者のサミール・ラマニ氏と共に、コインベースから得た機密情報を使用し、新規リストに掲載されたトークンから100万ドル以上の利益を得ていたとされる。米当局は、2022年7月に2人が国外逃亡しようとしている最中にイシャン氏とニキル氏を逮捕した。

ワヒ氏の弁護団は、判決を考慮する際には、イシャン氏の米国での移民状況、非暴力犯罪であること、そして逮捕前には刑事犯罪歴が全くないことを重視すべきだと主張した。ワヒ氏の母親を含む友人や家族の一部は、判決のために裁判所に直接出廷した。

「彼は仕事を失い、評判を失った。米国だけでなくインドでも多大なマイナスの評価を受けている。これ以上の罰は必要ない」と弁護団は語った。

また、元コインベースのプロダクトマネージャーであるワヒ氏自身も、自身の行動について「非常に申し訳なく思っている」と判事に直接語り、「大きな間違いを犯した」と述べた。検察は、兄のニキル氏とラマニ氏と違い、イシャン氏がインサイダー取引の計画を主導したことで最も責任があると主張した

「これは一度きりの間違いではない。10か月にわたる行為だ……。被告が得た情報の種類は、新聞を一日早く読むことができるようなものだ」

ワヒ兄弟は、刑事インサイダー取引に対する罪を認め、イシャン氏は禁固36から47か月の刑を受け入れることに同意したと伝えられている。ニキル氏は2022年9月に電子詐欺共謀の罪を認め、その後禁固10か月の刑を言い渡された。記事作成時点では、ラマニ氏は逃亡中だ。

米国証券取引委員会(SEC)もまた、証券法の可能な違反に関連する並行したケースでイシャン氏をターゲットにしている。4月3日時点で、SECは元コインベースのプロダクトマネージャーと「原則的に合意」に達したと述べている。