農家が気象リスクをヘッジする天候保険プラットフォームを展開するArbolは、チェインリンクのデータオラクルを統合した。スマートコントラクトとチェインリンクのオラクルを使用することで、気象に関する保険契約で発生する不正や遅延などのすべての問題を解決できるという。
Arbolはイーサリアムブロックチェーン上に構築された気象リスクマーケットプライスを提供している。ユーザーはブロックチェーン上で、天候の結果に基づいて支払いを行うデリバティブを作成することができる。これによって農家のような天候に影響を受ける事業体がリスクをヘッジできるようになる。
Arbolのシッダールタ・ジャCEOは、同社がブロックチェーン技術を使うことで世界中の数十億人を対象とした問題が解決できると期待している。
「20億〜30億人という世界中の生活が、日々の天候によって生活が脅かされるというのは異常だ」
特に農家は天候が予測不可能なことで、経済的に大きな打撃を受けている。多くの農家にとって、厳しい気候条件は日々の収入がいきなり無くなったり、もしくは飢餓につながる可能性さえある。ジャ氏によると、農家向けの保険は数十年前からあるというが、大多数の農家にとってはその保険に入ることすらも経済的に難しいという。
(出典:Arbol「Arbolのブロックチェーンインフラストラクチャ」)
ジャ氏によると、Arbolは参入障壁を下げると同時にヘッジを安価に抑えることが可能だという。ブロックチェーンを使うと決済や支払いは瞬時に行える。一方で中央集権型ではユーザーは数週間待つ必要があることや、保険料が高くなる傾向があるという。これまでは顧客と保険会社との間で日常的に法廷闘争が繰り広げられており、多くの農家は法廷で争う余裕がないことや保険会社からの遅延が発生している
さらに農家は保険会社側が一方的に「公正」と判断した支払いに応じることが多く、保険商品自体の信頼性も低下している。Arbolによると、農業分野では毎年1兆ドル以上の農作物が保険に加入していないという。
農家は作物に悪影響を及ぼす様々な悪天候に対してヘッジをかけることができる。例えば気温が異常値を示した場合に自動的に保険金が支払われる。今回、チェインリンクの気象データフィードを追加することで、Arbolのプラットフォームはより分散化され、自動的に正しい支払いが実行されるようになるという。
Arbolは米国海洋大気庁(NOAA)の降雨データとスマートコントラクトで接続する。
ジャ氏によると、プラットフォームは2月に開始し、すでに大きな需要があるとしている。
「我々は210以上の取引を行い、1300万ドルの想定リスクを負っている。トウモロコシや大豆、果物、そのほかの特殊な作物など、膨大な数の作物を栽培する農家を対象としている。我々は農業のサプライチェーンリスクをヘッジするために農家と協力している。」
Arbolは現在、ユースケースを提供することを意図したものであるというが、ジャ氏によると、将来的には分散型金融(DeFi)商品とする計画があるという。
「こうした気候予測は、トークン化されればDeFiコミュニティにとって優れた投資商品となり利回りが魅力的になポートフォリオになるだろう。リターンは分散化され、株式市場や債券との相関性もないことも利点だ」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン