国際的な学術誌ネイチャー(Nature)に中国の研究者が1120キロメートルの離れた場所で行なった量子鍵配送の効率を4倍に高めたと発表した。秘密鍵の交換は144キロまででしか実用化されておらず、量子鍵配送の効率化が進めば、量子暗号通信の実用化に近づくことになる。
量子コンピューターは技術が進み、普及すれば既存の暗号技術が全て破られるのではないかという声も出ている。
一方で、今回の量子鍵配送の成功は、遠く離れたユーザー間での秘密鍵を共有可能にすることで安全な通信が可能になるという。
今回の実験では人工衛星を使い、1120キロ離れた中国の2ヶ所の観測所に0.12ビット秒の速さで安全に鍵の交換に成功。地上回線を利用した技術ではこれまで144キロが最大だった。
この技術が商用化されれば、ユーザーはインターネットを使わずに取引を承認可能になることから、セキュリティリスクがなくなり、仮想通貨のハッキングが時代遅れになるかもしれない。
商用化には程遠い
コーネル大学教授でAvaの、共同創業者であるエミン・グン・シラー氏はコインテレグラフに対し、この技術を40年前から待ち望んでいたと話した。この技術は遅かれ早かれ、商用化されるだろうと予想した。
しかしビットコインコアの開発者であるウラディミール・ヴァン・デ・ラーン氏は「我々が生きている間には採用されることはない」と話す。「現実的に、量子コンピューターが分散型ネットワークに適法できるまで一般的になるにはかなりの時間がかかる」と指摘した。
コストが高すぎる
リカルディアン・コントラクトのプログラマーであるイアン・グリッグ氏は量子暗号が実用的だとは信じていない。
「違う。安全に鍵配送を実現するために量子暗号は必要ない。ソフトウェアを使えばもっと安くできるだろう」
ビットコイン(BTC)研究者であり、RSK設計者のセルジオ・デミアン・ラーナー氏もグリッグ氏と同じ考えだ。
「鍵を交換するための量子リンクは必要ない。一度行き来するだけで鍵は交換できる。そして、その鍵を10年間使い続ける。控えめに言っても、インフラコストをカバーできるような用途は全くない」