欧州議会は14日、「データ法」を可決した。「産業データへのアクセスを妨害する障壁を取り除くことで、イノベーションを促進する」ことが目的。条項の中には、スマートコントラクトを変更可能にすることを義務付ける条文がある。

この法案は、IoT(モノのインターネット)や「産業機械」などの「接続された(コネクテッド)製品や関連サービス」によって生成されたデータを公正に共有するためのルールを定めたもの。生成された産業用データの80%は利用されることがないと欧州議会は声明で指摘しており、この法律は、アルゴリズムの訓練やデバイス修理の価格低下のためにそれらのリソースの利用を促進する。

この法律には、企業秘密の保護と違法なデータ転送を避けるための規定があり、共有可能なデータを提供する当事者のスマートコントラクトに、「安全な終了と中断」を含む要件が設定された。

「スマートコントラクトは、操作の停止や中断をリセットまたは指示できる内部機能を含むものとし、特に、非同意的な終了や中断がどのような条件で許容されるべきかを評価する必要がある」

また、同法はスマートコントラクトに他の契約形態との平等な保護を認めている。

一方でOpenZeppelinのソリューションアーキテクチャ責任者であるMichael Lewellen氏は次のようにコメントした。

「キルスイッチを含めると、不変性保証が損なわれ、誰かがそのようなキルスイッチの使用を管理する必要があるため、障害点が導入される。(中略)ユニスワップのような多くのスマートコントラクトは、このキルスイッチ機能を備えていない」

Vrije Universiteit AmsterdamのThibault Schrepel教授は、この法律について、「誰も予測できないほどスマートコントラクトを危険にさらす」とツイートし、この法律における法的不確実性を指摘した。特に、誰がスマートコントラクトを停止または中断できるのかが明記されていないことを問題視した。

法案は500対23の差で可決され、110の棄権があった。国会議員は今後、欧州理事会および欧州連合(EU)の各加盟国と法律の最終形について交渉する。