ドイツやフランスなどの欧州主要5ヶ国が11日、ステーブルコインに厳しい規制を求める共同声明を出した。イタリアやスペイン、オランダが提案に加わり、法律や規制上の問題が解決するまでは欧州連合(EU)内での発行を認めないことや、準備金の運用などにも厳しい制限を課す。
ロイター通信など複数のメディアが報じた。
23日にもEUとしての規制案をまとめる。
声明文にはデジタル通貨が金融の安定や決済の効率性、公正な競争などを損なってはならないという原則を明記。消費者保護や金融政策の主権を保全する目的があるという。
ステーブルコインがEU内で運用される場合は、ユーロや他のEU諸国が発行する法定通貨に1対1でペッグされることを求めている。さらに裏付け資産(準備金)をEUが認定した金融機関に預けることを求めた。さらに換金の要請には迅速に応じなければならないとした。ステーブルコイン計画に関連する全ての企業や団体などはEU域内で登録されている必要があるという。
日経新聞はドイツのDPA通信が報じた、フランスのルメール経済・財務相の「中央銀行だけが通貨発行の許可を得られる」という言葉を引用。フェイスブックの仮想通貨リブラが通貨を発行することを認めないという姿勢を強調した。
「リブラを含むいかなる仮想通貨プロジェクトでこれが弱体化されることがあってはならない」
リブラは2020年4月にこれまでのバスケット型通貨から大幅に計画を変更。米ドルと紐づく「リブラUSD」やユーロと紐づく「リブラEUR」といった単一型の通貨発行モデルになるとした。
ステーブルコインの規制求める声続々
これまでにも、フェイスブックなどの民間セクターによるグローバルステーブルコインへの対応は欧州各国の中銀からも、政府に対応を求める声が上がっている。民間セクターが主導するステーブルコインについて、フランス銀行のフランソワ・ビルロイ・デ・ギャルハウ総裁は「グローバルなレベルで採用されるためには、より大きな規制枠組みに適合しなければならない」と述べている。
さらに、ビルロイ・デ・ギャルハウ総裁は、将来の中央銀行デジタル通貨(CBDC)が、ビッグテックによって発行される「通貨」のバックエンドで発行される可能性があると警告。
個々の政府が、プライベートな通貨に対抗するため、国内およびグローバルの両方で独自のCBDCを発行する可能性にも言及した。このような発行がグローバルな金融コミュニティでの調整なしで行われれば、民間プロジェクトとCBDCとの間の線引きが、ほかの中央銀行の意見を無視して形成される恐れがあるとも語った。