仮想通貨取引所におけるイーサリアム(ETH)の取引所残高が2015年11月以来、約10年ぶりの低水準に落ち込んでいる。これを受けて、一部のアナリストはETH価格の大幅な上昇を予測している。
ブロックチェーン分析企業サンティメントは3月20日のX投稿で、「イーサリアムの保有者は現在、取引所での残高を897万ETHまで引き下げた。これは2015年11月以来の最低水準だ」と指摘した。
暗号通貨取引所におけるETH供給量 Source: Santiment
サンティメントによると、ETHは急速に取引所から引き出されており、1月末時点と比べて取引所残高は16.4%減少しているという。これは投資家がETHをコールドウォレットに移し、長期保有に転じていることを示唆しており、将来的な価格上昇への期待が高まっていると考えられる。
取引所での残高が急減した場合、市場における「供給ショック」が起こり、価格上昇につながる可能性がある。ただし、それは需要が拡大していることが前提条件となる。
類似の現象はビットコイン(BTC)でも観測された。1月13日には、すべての仮想通貨取引所におけるBTC残高が235万BTCまで減少し、2018年6月以来の水準に低下。その1週間後、トランプ米大統領の就任式をきっかけに、ビットコインは最高値となる10万9000ドルへと急騰した。
一部の仮想通貨トレーダーは、ETHでも同様の動きが起きる可能性があると見ている。
仮想通貨トレーダーのクリプト・ジェネラル氏は、Xのフォロワー23万人に向けて「大規模な供給ショックが起きるのは時間の問題だ」と投稿。また、アナリストのテッド氏も3月19日の投稿で、「ETHの供給が日々減少しており、間もなく買い手同士の競り合いが始まるだろう」と述べた。
トレーダーのナバー氏は「これまでで最大規模のETH蓄積が進行中で、価格は8000〜1万ドルの水準まで上昇する可能性がある」と予想している。仮に8000ドルに到達すれば、ETHは2021年11月に記録した過去最高値4878ドルから64%の上昇となる。
こうした供給減少はETHの強気材料となっているが、他方で弱気な指標も見られる。
ビットコインに対するETHのパフォーマンスは過去5年間で最も低い水準にある。ダーン・クリプト・トレード氏は3月19日のX投稿で、「ETHが近いうちに過去最高値付近に戻る可能性は低い」とコメントしている。
Ether is down 26% over the past 30 days. Source: CoinMarketCap
ETHは現在1971ドルで取引されており、過去1か月間で26%下落した。また、ファーサイドのデータによれば、現物ETH ETFは過去12日連続で流出が続き、合計で3億7060万ドルが引き出されている。
アナリストのスコット・メルカー氏は「今ここでイーサリアムが反発すれば、歴史的な底となるだろう。そうでなければ終わりだ」と書いている。
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