北朝鮮に仮想通貨(暗号資産)とブロックチェーンに関する知識を教えたとして、米国の制裁違反で逮捕されたイーサリアム研究者のバージル・グリフィス氏の弁護士は22日、米国政府の起訴内容を棄却するための動議を提出した。

ブライアン・クライン弁護士が提出した動議には、米政府のグリフィス氏に対する起訴状には「申し立ての内容について、事実を特定していない」ことや「実際の事実に関する申し立てが含まれていない」と主張している。

グリフィス氏は2019年11月28日、北朝鮮で開催された仮想通貨に関する会議「平壌ブロックチェーン・仮想通貨カンファレンス」で、「経済制裁を逃れるために仮想通貨とブロックチェーン技術をどのように使うか、技術的なアドバイスをプレゼンした」としてFBIなどが逮捕した。1月9日には経済制裁発動やテロリストの資金調達阻止に広く使われている法律である「国際緊急経済権限法(IEEPA)」違反で起訴された。

22日にあった棄却申し立てでは、このスピーチが制裁違反ではないと主張。グリフィス氏は「公開されている情報に基づいた一般的なスピーチ」で会ったとしている。

グリフィス氏は講演料は支払われていなく、コンサルタント契約もないため、北朝鮮に対してOFACが行政命令で禁止している「サービス」を提供しているわけではなく、米政府の禁止事項には当たらないという。

さらにグリフィス氏の講演は、国際緊急経済権限法(IEEPA)の「情報」と「情報資料」の共有に関する免責事項に該当しているとした。

既報のように、グリフィス氏の事件をめぐっては仮想通貨コミュニティからも擁護の声が上がっている。

2019年12月にはイーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏は次のように話している

「バージルがやったことは、北朝鮮が何か悪いことをする上で本当に助けになったとは思えない。彼はオープンソース・ソフトウェアに関する一般に公開されている情報に基づいてプレゼンテーションを行った。ハッキングに関する「高度な個人指導」はなかった。バージルは個人的な利益を得ていない。私は米国がスピーチをするプログラマーの後を追うのではなく、米国やすべての国が苦労している真正で有害な汚職に焦点を当てることを願っている」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン