米証券取引委員会(SEC)が仮想通貨取引所クラーケンの仮想通貨ステーキングサービス提供を停止したため、イーサリアムのネイティブトークンであるイーサ(ETH)は、今年最悪の日次パフォーマンスを示した。
2月9日、クラーケンは、米国の個人投資家に仮想通貨ステーキングサービスを提供し、証券規則を違反したというSECの訴えに対し、3000万ドルの罰金を支払うことで和解することに合意した。
このニュースは多くのプルーフオブステーク(PoS)ブロックチェーンプロジェクトトークンの価格を押し下げた。2022年9月にステーキングベースのプロトコルに切り替えたイーサリアムも苦境に立たされた。
2月9日、ETH価格は6.5%近く急落して1,525ドル前後となり、1日の下落幅としては昨年12月16日以来最大となった。

イーサリアムはSEC問題を乗り切れるか?
仮想通貨のステーキングに対するSECの取り締まりは、イーサリアムが3月に「シャンハイ」と呼ばれる重要なネットワークアップグレードのリリースを待っているときに起こった。
このアップデートにより、イーサのバリデーター(イーサリアムのPoSスマートコントラクトに約256億ドル相当のETHトークンをロックしているエンティティ)が、報酬と同時に資産を引き出すことがようやく可能になる。
その結果、ビットワイズ・アセット・マネジメントの最高投資責任者であるマット・ホーガン氏を含む複数のアナリストが、シャンハイはETHにとって強気のイベントであるとみなしている。
「今日、ETHを出資して利回りを稼ぎたい多くの投資家が傍観している。結局のところ、ほとんどの投資戦略において無期限のロックアップを許容できないのだ」とホーガン氏は1月に投資家に宛てたレターで書き、次のように付け加えた。
「そのため、ほとんどの投資家はマーケットから手を引いている。しかし、その無期限のロックアップが解除されれば、ETHをステーキングようとする投資家の割合が爆発的に増えるだろう」
しかし、米国における仮想通貨のステーキングの将来について疑念が生まれたことで、仮想通貨取引所コインベースのCEOであるブライアン・アームストロング氏は、SECが将来的に個人投資家のステーキングを禁止することを懸念している。
1/ We're hearing rumors that the SEC would like to get rid of crypto staking in the U.S. for retail customers. I hope that's not the case as I believe it would be a terrible path for the U.S. if that was allowed to happen.
— Brian Armstrong (@brian_armstrong) February 8, 2023
さらに、ETHのステーキングサービスを禁止することで、ユーザーがイーサリアムから離れざるを得なくなるとの分析も出ている。
注目すべきは、イーサリアムはバリデーターになるために、32ETH(~5万ドル)をPoSスマートコントラクトに預けることをステーキングに要求している点だ。そのため、個人投資家は、より少額のETHをプールしてバリデータを可能にするサードパーティのステーキングサービスを利用することが多いようだ。
「SECが一般人に対する仮想通貨のステーキングを禁止すれば、イーサリアムのバリデータの過半数が撤退しなければならないだろう」と、独立系アナリストのリップル・ヴァン・ウィンクルは主張している。
ETH価格は弱気となるか?
テクニカルな観点から見ると、イーサ価格は2月に20%の価格調整の可能性があると位置づけられている。
注目すべきは日足チャートで、ETH価格は数か月にわたる下降トレンドラインのレジスタンスを突破しようと試みた後、反落する動きを見せていることである。現在は1,525ドル付近の200日間指数平滑移動平均線(200日EMA;青い波)をサポートとして維持している。

イーサは、市場のファンダメンタルズがネガティブであるため、200日間EMAのサポートを下回るリスクがある。このようなシナリオでは、次の下落目標は1,200ドルとなり、これは数か月間にわたる上昇トレンドラインのサポートと重なるポイントだ。
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