イーサリアム財団のAIチームのリーダーを務めるダビデ・クラピス氏によれば、同財団による人工知能(AI)分野への新たな取り組みは、当初のロードマップには含まれていなかったが、エコシステム内のプロジェクトからの需要に応じて立ち上がったものだ。

クラピス氏は「これは直接的な方針転換ではないが、プロトコルの長期的な成功に向けた新たな一歩だ。我々のエコシステムにはこれが必要だ」と語った。

新設されたAIチームは、イーサリアム財団のプロトコル部門とエコシステム部門の双方にまたがって活動する。狙いは、プロダクト開発と、従来のAI開発者をイーサリアムに迎え入れる準備だ。

「従来のAI開発者に対して『ここには価値があり、分散化されており、AIのアラインメントや検証、ガバナンスに関する課題を解決できる』と示すことができれば、我々にとって成功だ」とクラピス氏は説明する。

イーサリアムのエコシステムではすでに、ステーブルコインを含むマイクロペイメントやオンチェーンのアイデンティティ、検証といったAI関連のプロダクトやサービスが出現しつつある。クラピス氏によれば、財団の「dAI」チームはこうした領域でのサポートに取り組む予定であり、「年内にマイルストーンを含むより詳細なロードマップを公表する計画だ」という。

この新イニシアティブは当初、クラピス氏とAIプロダクトマネージャー、AIスタッフによって立ち上げられ、プロトコルチームと連携しながら研究を進める。

現在の取り組みは短期ロードマップに基づいており、その中核にはイーサリアム改善提案「ERC-8004」がある。この提案は、AIエージェントをトラストレスに発見・選択・相互作用できる仕組みを導入するものだ。

ERC-8004はクラピス氏のほか、メタマスクのAIリードであるマルコ・デ・ロッシ氏、OpenAIのジョーダン・エリス氏が共同執筆している。クラピス氏は「この提案は非常に早い段階から注目を集めた。我々としては、すでに大きな影響を与えうるものだと感じている」と述べた。

イーサリアムにとってAI参入の好機

イーサリアム財団は月曜日にAIチーム設立を発表した。クラピス氏によれば、この構想は財団の研究者グループがイーサリアムのエコシステムにはAIアプリケーションを支援できる可能性を見出したことから始まった。

イーサリアムが初めての試みというわけではない。インフラプロトコルのPlanckは7月にAI向けのレイヤー0ブロックチェーンを立ち上げ、Kite AIは2月にアバランチ向けのAI特化型レイヤー1ブロックチェーンを発表している。

ブロックチェーン上で稼働するAIエージェントは2023年から広まり始めており、これらは最小限の人間の監督で金融取引やその他のタスクを実行できる。

イーサリアム財団がAI競争への参入で「後発」だと考えているかを問われたクラピス氏は、そうではないと答えた。

「遅いとは思わない。人々はこの2年間、プロトコル上でAIの協調に取り組んできた。だから今こそタイミングが適切だと感じている」と同氏は述べた。

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