イーサリアム(ETH)の価格チャートは、5月9日から6月20日までの保ち合いを経て、6月29日に2100〜2200ドルの範囲で発生したトレンド逸脱の後、「パワー・オブ・スリー」と呼ばれる典型的なパターンを形成している。
突然の流動性増加により、ETHは複数月にわたるサポート水準まで下落したが、すぐに買い手によって吸収され、翌30日には2500ドルを超える水準まで反発した。
第3四半期に向けて長期的な上昇となるか
パワー・オブ・スリー(またはAMDモデル)は、Accumulation(蓄積)、Manipulation(操作)、Distribution(分配)の頭文字を取ったもので、主要な流動性ゾーンを巡る機関投資家の売買戦略を読み解く枠組みとして知られている。
まず蓄積フェーズは、5月9日から6月20日までの静かな横ばい相場に該当する。この間、市場参加者は低ボラティリティの中でポジションを構築し、後の大きな値動きへの土台を整える。
次に操作フェーズが訪れた。これは2200ドルを一時的に割り込む下落として現れ、個人投資家のパニック売りやショートエントリーを誘発し、その後急反転する動きが特徴である。
ETHは2200ドルから2500ドルへと急反発し、それに機関投資家の需要が続いた。グラスノードのデータによれば、現物イーサリアムETFには先週だけで10万6000ETHの純流入があり、これで7週連続のプラスとなった。この大規模な資金流入は、パワー・オブ・スリーの最終段階への移行を裏付けている。
現在は分配フェーズに入っており、ETHは操作ゾーンとは逆方向に勢いよく動き始めている。上方の流動性プールがターゲットとなり、取り残されたポジションが解消されるにつれ、価格の上昇は加速しやすい。現在の相場では、この分配フェーズのターゲットは5000ドルを上回る水準、つまり100%の上昇が想定されている。
このパワー・オブ・スリーのパターンは、ETHが2016年から2017年にかけて記録した上昇相場と類似している。ビットマインのトーマス・リー氏は、このフラクタル構造に注目し、ETHが「最も嫌われた上昇」、すなわち市場の大多数が予想していないが、機関投資家と長期的な市場構造によって駆動される上昇に突入する可能性を示唆している。
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一方で25%の下落リスクも
一方、弱気なシナリオも報じている。イーサリアムは長年にわたって機能してきたテクニカルなレジスタンスを突破できず、2週間足チャートにおける対称トライアングルの下限を割り込んだことで、1600ドルまで最大25%の調整に見舞われる可能性がある。
また、ETHの大口保有者が約2億3700万ドル相当のETHをステーキングから取引所へ移動させたことも不安材料だ。過去5日間で6万2000ETH以上がバイナンスに送られており、ETHに対する売り圧力の増大の兆候とみられている。
仮想通貨トレーダーのexitpump氏も、ETHが2500ドルのレジスタンス突破に苦戦している点を指摘し、現状では市場がこのアルトコインをショートしていると述べている。チャート上では、ETHの価格が下落する中で、ニューヨーク市場の取引時間帯に建玉が増加していた。
さらに、短期的な資金調達率がマイナスへと転じ、スポット取引高も減少しており、弱気圧力が強まっている。直近の流動性は現在の価格帯より下方に集中しており、2350ドルから2275ドルの範囲が短期的な下値ターゲットとして注目される。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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