今回のイーサ価格の急騰で多くのオプショントレーダーが含み損を抱えている。仮想通貨市場が不安定で予測不可能という性質が改めて浮き彫りになっている。

カリブ海のセント・ヴィンセント島を拠点とする仮想通貨デリバティブ取引所「デルタ・エクスチェンジ」のパンカジ・バラニCEOはコインテレグラフに対し、「イーサでは2000〜3000ドルの間でディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(行使すれば大きな損失が出てしまう状態のこと)のネイキッドコールが多く行われている」と語っている。

コールオプション(買う権利)の行使価格が原資産の現在価格(現在の場合はイーサ)を大幅に上回っているとコールオプションはディープ・アウト・オブ・ザ・マネーになる。

さらにバラニ氏は次のように述べる。

価格が急騰しているため、ショート・コールは大きな含み損を出しており、オプションのライター(オプション作成者、引受手)は、ショートのガンマエクスポージャーをカバーするためにETHの買い増しを余儀なくされている」

バラニ氏によると、トレーダーは、イーサの価格がこれほど急速に上昇することはなく、オプションは失効するだろうと考えていたため、2020年12月と1月に権利行使価格2,000ドル以上でコールオプションを売却していたという。

「売りのオプションが失効しない可能性がある」と同氏は述べている。

イーサの価格が上昇するにつれて、この可能性はさらに強まり、追加の買い活動を余儀なくされることになる。

オプション市場では原資産の価格変化に対する変動率がガンマと呼ばれる。今回のようにコールに大量の買いが入り、さらに原資産価格(イーサ)を大量に買い上げられると、コールを売っている投資家は大きな損失が出るためにコールを買い戻す。こうしたループが繰り返されることを「ガンマ・スクイーズ」と呼ぶ。これが起きると、価格が急騰した後に急落することになる。

業界のデータによると、デルタ・エクスチェンジでは木曜日に5600万ドル以上の取引量が発生した。

ETHの売り手がゲームストップ(GME)のようなガンマ・スクイーズを経験する可能性があるかどうかという質問に対して、バラニ氏は、GMEの上昇は集中した買いに関連していたため、この2つのシナリオは全く似ていないという。一方、イーサは、集中的な買いの動きはないため、ガンマ・スクイーズの現象が起きるかは不明としている。

イーサは3日に1650ドルを超え、史上最高値を更新した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン