イーサリアム(ETH)は過去2日間で13.5%上昇し、10日には3000ドルに達した。しかし、この水準が維持されるかどうかについて、トレーダーの間では依然として懐疑的な見方が広がっている。強気な値動きとは裏腹に、ETHのデリバティブ市場には確信の欠如が見られ、さらなる上昇の可能性に疑問が投げかけられている。

ETH先物年率プレミアム Source: laevitas.ch

現在のETH月次先物プレミアムは5%で、中立から弱気の境界線上にある。前週の3.5%からは改善しているものの、明確な強気のシグナルが最後に見られたのは、ETHが3300ドルを超えていた1月23日となる。プロ投資家の悲観論は後退しているが、依然として継続的な上昇に対する確信は持てていない。

レイヤー2は好調も、ETH需要は伸び悩み

ETHは2021年11月の史上最高値からいまだ41%下落しており、こうした慎重な見通しの一因となっている。さらに重要なのは、イーサリアム・ネットワークの手数料が減少している点であり、これがETHのバーン(焼却)率を低下させている。イーサリアムのバーンメカニズムはネットワークの使用量に依存しているため、利用が減ればETHの供給が増え、価格には下押し圧力がかかる。

30日間手数料に基づくブロックチェーンランキング Source: Nansen

ブロックチェーン分析企業ナンセンによると、過去30日間でイーサリアムのネットワーク手数料は22%減少し、3480万ドルとなった。この傾向はブロックチェーン業界全体に及んでいるが、ETH投資家にとってはとりわけ失望を誘う内容となっている。というのも、TVL(総ロック資産)の増加がETH自体の需要増加に結びついていないためだ。

イーサリアムTVL (青:左軸) とイーサリアムDEXの取引高 (緑:右軸). Source: DefiLlama

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実際、イーサリアムのTVLは3か月前の500億ドルから730億ドルまで増加した一方で、分散型取引所(DEX)での取引高は9か月ぶりの低水準に落ち込んでいる。かつてのミームコインブームが持続不可能なものであったとしても、ETH投資家の多くは活発な取引活動がより長く続くことを期待していた。

イーサリアムのレイヤー2エコシステムは予想以上の成果を上げており、過去30日間でDEX取引高は586億ドルに達した。しかし、データブロブによるロールアップ手数料の引き下げは、ETH需要の押し上げにはつながっていない。

比較として、ソラナのTVLはイーサリアムの14%に過ぎないにもかかわらず、ネットワーク手数料は2530万ドルと高水準だ。トロンの30日間の手数料も、イーサリアムより60%高くなっている。

この信頼の欠如が先物市場特有の現象かを判断するには、オプション市場の動向が参考になる。トレーダーがコールオプションを通じて上昇リスクを取ろうとする場合、デルタ・スキューは通常-5%から+5%の中立範囲を下回る。一方、下落リスクに備えた需要が高まると、この指標は上昇する傾向にある。

ETHオプションのデルタスキュー Source: laevitas.ch

現在、ETHのオプション・スキューは-3%で、強気と弱気の戦略が均衡していることを示している。この状態は過去4週間続いており、前週の+1%からはわずかに改善している。

今回のETH価格上昇は、米国上場のETFへの4日間合計4億6800万ドルの純流入が主因と見られる。さらに、シャープリンク・ゲーミング(SBET)およびビットデジタル(BTBT)によるETHの財務戦略的購入も、サポート要因のひとつだった。

とはいえ、機関投資家の需要が今後も継続するかどうかは不透明である。少なくとも現時点では、ETHのデリバティブ市場は持続的な上昇に対する確信を示していない。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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