イーサリアム(ETH)は、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のジャクソンホールでの講演を受け、4350ドルのレジスタンスを突破した。その後、4550ドルから4650ドルの供給ゾーンを上抜け、足元では4800ドルを試す展開となっている。9月の利下げの可能性を示唆した発言がリスク資産全般に急反応を引き起こした。
パウエル氏は、インフレと労働市場の状況を踏まえ「政策調整が必要となるリスクバランスにある」と述べ、雇用の下振れリスクの高まり、柔軟な平均インフレ目標からの転換を示唆した。さらに、インフレ期待を「当然のものとみなすべきではない」と警告した。
この発言はイーサリアムのブレイクアウトのきっかけとなり、直後には1時間で7%の上昇を記録。週初めから5度試された4350ドルの壁を明確に上抜け、短期的な強気転換を確認する動きとなった。特にパウエル氏の演説直前には逆三尊パターンが形成されており、強気シナリオが裏付けられる格好となった。
モメンタムが上向きに転じたことで、ETHは4800ドル超の高値圏に接近する可能性があり、その水準では再び売り圧力が強まる展開も考えられる。
イーサリアム、伝統的金融の新たなお気に入りに
イーサリアムは、現物イーサリアムETFの記録的な資金流入を背景に、機関投資家や企業トレジャリーの「新たな寵児」としての地位を固めつつある。7月には54億3000万ドル、8月には24億5000万ドルの純流入が記録され、四半期ベースでは過去最高の需要となった。
クリプトクオントのデータによれば、8月21日時点でイーサリアムETFのカストディ保有量は642万ETHに達し、7月8日の415万ETHからわずか6週間で227万ETH増加した。これは約58%の成長であり、イーサリアムETF開始以来最も積極的な買い集めの1つとなった。
クリプトクオントは、ETFへの急速な流入は「構造的な需要ショック」として現れ、トークンがカストディに固定されることで現物市場の流動性が減少すると分析。同規模の取引でも価格への影響が拡大し、イーサリアムはETFのリバランスや償還フローにより敏感になると指摘した。
しかしETF需要が持続することで市場には常に強い買い支えが入り、価格の上昇を下支えし、ボラティリティを抑える効果も期待されている。
さらに強気の材料として、アナリストのテッド・ピローズ氏は「ETHクジラ」の拡大を指摘。1万ETH以上を保有するアドレス数は7月以降200以上増加しており、機関投資家による蓄積を裏付けている。ETFカストディアンと企業トレジャリーの合計保有量は現在1052万ETHに達している。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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