ブロックチェーン領域で分散型自律組織(DAO)が普及するにつれ、ガバナンスの議論が活発となっている。イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン氏はツイッター上での投稿をきっかけに、特定の少数者に権力を与えることと意思決定権を自発的に委ねる自由との間のジレンマが議論されている。

ブテリン氏はツイートの中で、権力欲の強い人は指導者にふさわしくないと指摘する古い格言を持ち出した。同氏は、この格言がDAOに適用できることを強調し、DAOにおける譲渡可能なガバナンストークンはDAOの全体的な趣旨に反すると主張した。ブテリン氏は、ガバナンスが譲渡できるのであれば、権力を追い求める者がそれを追求することを可能にすると指摘した。

ブテリン氏が有効な論点を提示する一方で、これとは対照的な意見も出た。TwitterユーザーのMukiは、返信の中で、意思決定権を委譲することは避けられないと指摘した。このコミュニティメンバーによれば、全員が参加することを期待するのは不可能であり、意思決定権を自発的に委譲することは、よくわからない中で決定をしたり、全く参加しないよりはましだという。

この議論に貢献したTwitterユーザーのWillyogoは、譲渡可能なガバナンストークンを保有することは、人々を支配したいと思うこととイコールではないと書いている。しかしWillyogoは、投票の仕組みという点でDAOに改善の余地があるのは確かだとも述べている。

TwitterユーザーのVagobondも、完全にリコール可能な代議員を持つことは、前進するための方法だと書いている。この案では、選ばれた代議員は、票を委任した人の代表でなくなった瞬間に、即座にその権威を失う可能性がある。

ガバナンスの仕組みに注目する人がいる一方で、検証可能なランダム性を使ってDAOの重要なポジションを選ぶなど、ブロックチェーンベースの技術の利用を主張する人もいた。あるツイッターユーザーは、トークン・ホルダーをランダムに選択し、選択したホルダーがオンチェーン活動を示さなかった場合に交代させることを提案した

先日パリで開催された「イーサリアム・コミュニティ・カンファレンス」で、Web3アドバイザーのヒラリー・キヴィッツ氏は、DAOと敵対的買収を撃退する方法について議論した。同氏によると、スマートコントラクトにポイズンピルを追加して、悪用する側の票を希釈するなどの解決策があるとのことだ。