イーサリアムのメインネット立ち上げから後10日で5周年の記念日となる。

イーサリアムのブロックチェーン全体で見れば絶好調であるが、イーサ(ETH)価格でみてみると一概には喜べない状況もありそうだ。

過去2カ月間のステーブルコインやDeFi(分散型金融)の台頭によってイーサリアムの規格であるERC20の時価総額が急騰。イーサリアムブロックチェーン全体の526億ドル(約5兆6000億円)のうち約半分の256億ドル(約2兆7400億円)がERC20のトークンとなっている。

言い換えると、仮想通貨イーサはイーサリアム全体の51%ほどにとどまっている。

(出典:Messari 「イーサと全てのERC20トークンの価値」)

ブロックチェーン分析企業メサーリのライアン・セルキス氏は、「イーサリアムに保管されている49%の価値は現在イーサリアムのブロックチェーンのメンテナンスや実行以外の経済活動向けにされているということだ」と解説した。

ステーブルコインの台頭

ERC20市場の急成長の背景にはステーブルコインの勢いがある。

仮想通貨(暗号資産)データ提供企業グラスノードによると、先週の時点で、ビットコイン(BTC)の時価総額を全てのステーブルコインの時価総額で割った値「ステーブルコイン供給比率(SSR)」が低水準にとどまっている。以前、ビットコインの時価総額は1950億ドル(約20兆円)だったが、現在は1710億ドル(約18兆円)と12%減少した。一方、ステーブルコインの時価総額は22億ドル(約2360億円)から110億ドル(約1兆1800億円)と5倍に増加した。

チェインリンクとCrypto.com

最近に勢いのあるDeFiの多くで採用され、ブロックチェーンとリアル世界のデータをつなげるオラクルを提供するチェインリンク (LINK)がERC20成長の立役者だ。セルキス氏によると、チェインリンクは時価総額の55億ドル(約5890億円)分の貢献。ERC20全体の4分の1以上のシェア率となっている。

また、Crypto.comの貢献額は22億ドル(約2350億円)となっている。

コインテレグラフジャパンのYouTubeチャンネルで、龍門キャピタル日本代表のサニー・ワン氏は、チェインリンクの魅力について、価格面で長期では対BTCで上昇トレンドを示している唯一のコインであり、技術面ではリアル世界のデータとブロックチェーンをつなぐという未解決の課題へのソリューションと話していた。

また、米国の起業家で仮想通貨取引所ジェミナイの共同創業者であるタイラー・ウィンクルボス氏は、チェインリンクチームの「情熱と献身的な姿勢は初期の頃のビットコインとイーサリアムコミュニティを思い出す」と称賛。「他の仮想通貨アーミーとは異なり、彼らは本当の約束を果たし技術的なメリットをもたらすプロジェクトに邁進している」と他のアルトコインとの違いを強調した。