イーサリアム企業連合(EEA)は16日、「エンタープライズ・イーサリアム(EE) クライアント仕様書1.0版」を公開した。これにより、イーサリアム・ブロックチェーンをベースとしたソリューションを利用している企業間での相互運用が可能となる。

 EEAは17年5月にサンタンデール、JPモルガンをはじめとする様々な企業によって結成された団体だ。現在の参加企業数は500社を数える。この団体はイーサリアム・ブロックチェーン・アプリケーションにおけるプライバシーやスケーラビリティ、セキュリティの向上に重点的に取り組んでいる。

 5月初めにはEEAによる「エンタープライズ・イーサリアム アーキテクチャ・スタック」が稼働を始めた。これはイーサリアムに基づく業務用アプリケーションの仕様を標準化するソフトウェア・スタックである。EEAの次なる一歩は、できることならば年末までに概念実証用のテストネットの構築と仕様書の改訂を実行し、それに続いいてEEA認証プログラムの稼働を始めることだ。

 EEAのロン・レズニック代表はコインテレグラフに対し、EEクライアント仕様書は「基本的にエコシステム全体を立ち上げるための発射台だ」と述べ、次のように語った。

「相互運用性がなければ、大企業が参入を望むことはありえない。特定の供給業者1社が有する独自のソリューションにとらわれることを嫌うためだ。[...] 相互運用はさらに多くの大企業を惹きつけて、その参入と真剣な取り組みを促す。特定の企業から抜け出せなくなることはないだろうという安心感が多少増すからだ」

 ハイパーレッジャーのブライアン・ベーレンドルフ専務理事は仕様書の公開は「ハイパーレッジャーとイーサリアムのコミュニティ同士が敵対ではなく、協力していくためのもう一つの道だ」と述べ、次のように語った。

「ハイパーレッジャー・ソウトゥースの開発コミュニティがEEA1.0との互換を目指していることは、私たちにとってたいへん喜ばしいことだ」

中国工業情報化部のブロックチェーン調査室は先週、19年の末までに全国的なブロックチェーン基準を公開することを目指すと発表した。ETHブロックチェーン向けのEEA仕様書と中国による策定が見込まれているブロックチェーン基準の間の互換性について質問を受けると、レズニック代表はコインテレグラフに対して次のように語った。「私たちは連携する方法を見つけだせるはずだ」。

「最終的に、500社の企業が、仮にその倍の1000社になったとして、世界の国々で使われるソリューションがエンタープライズ・イーサリアム仕様書に基づいていたとする。その場合、『中国が何らかの取り組みを行っているのであれば、相互運用を望んでいるはずだ』と私は思うだろう。 [...]彼らと協働する以外の道はないはずで、情報を共有することになるだろう。EEAの仕様書、これを私たちは利用できる。[...] もしかすると中国側も見たがっているのではないかと私は思っている」