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Jesse CoghlanJesse Coghlan

DTCCが米国債をトークン化へ 将来は幅広い資産へ拡大方針

DTCCが米国債をトークン化へ 将来は幅広い資産へ拡大方針
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米証券保管振替機関(DTCC)は、トークン化された米国債をオンチェーンで提供する準備を進めており、将来的には「幅広い資産」へ拡大する計画だと明らかにした。

DTCCは水曜日、子会社であるデポジトリー・トラスト・カンパニー(DTC)で保管されている「米国債の一部」を、フィンテック企業デジタル・アセットが開発した許可型ブロックチェーン「カントン・ネットワーク」上でミント可能にする方針を示した。

DTCCのフランク・ラサラ最高経営責任者(CEO)は、「この協業により、米国債から始め、最終的にはネットワーク提供者全体にまたがるDTC適格資産の幅広い領域へと拡大する、実世界の高価値トークン化ユースケースを市場に届けるためのロードマップが整う」と述べた。

DTCCは、米国証券の清算、決済、取引における重要な市場インフラを運営しており、昨年は子会社全体で3.7京ドル相当の証券取引を処理したと報告している。

Frank LaSalla speaking with CNBC’s “Crypto World” on Friday after receiving the SEC’s no-action letter. Source: YouTube

同社は木曜日、SECから「ノーアクション・レター」という異例の書簡を受領し、事前承認されたブロックチェーン上での証券トークン化サービスを「3年間」実施することが認められた。書簡では、製品が説明どおりに運用される限り、SECがDTCCに対して執行措置を取らないことも確認されている。

トークン化対象はさらに拡大へ

DTCC、デジタル・アセット、関係各社の3者は、管理された環境下で最小実行可能製品(MVP)を2026年前半までに立ち上げる計画で、DTCCは「顧客の関心に応じて、その後数カ月でプロジェクトの規模と範囲を拡大する」としている。

また、3社間のパートナーシップに関する全体ロードマップは「複数年にわたって展開される」としつつ、当面は「安全で規制に準拠した環境でのデジタル化された金融商品へのアクセス提供」を目標に掲げている。

DTCCは先週、SECの書簡が「高い流動性を持つ資産の限定的な集合」に適用されると説明し、対象には米国財務省短期証券、国債、ノートのほか、主要指数や米国上場企業上位1,000社を追跡するラッセル1000に連動する上場投資信託(ETF)が含まれるとした。

さらに同社は、カントン・ネットワークのガバナンスにも参加し、同ネットワークを支える組織であるカントン・ファウンデーションにおいて、ユーロクリアと並ぶ共同議長を務めることも明らかにした。

市場はオンチェーン化へ向かうが、進展は緩やかとの見方も

SECのポール・アトキンス委員長は金曜日、DTCCにノーアクション・レターを交付した後、同社の取り組みは「オンチェーン資本市場に向けた重要な一歩だ」と述べた。

アトキンス委員長は「米国の金融市場はオンチェーンへ移行する態勢にある」と述べ、SECは「イノベーションを優先し、このオンチェーンの未来を実現するために新技術を受け入れている」と付け加えた。

同日、NYDIGでリサーチ部門グローバル責任者を務めるグレッグ・チポラロ氏は、証券のトークン化が直ちに仮想通貨市場に大きな追い風となるわけではないとしつつも、トークン化資産がブロックチェーン上でより深く統合されるようになれば状況は変わり得るとの見方を示した。

チポラロ氏は、トークン化資産には依然として伝統的金融の仕組みが必要であり、その設計は「大きく異なり得る」と指摘。多くはカントンのようなプライベートブロックチェーン上で運用されているため、分散型金融(DeFi)の広範なエコシステムと必ずしも連携できるわけではないと述べた。

「将来的には、これらの実世界資産(RWA)が、借り入れの担保、貸し出し対象資産、あるいは取引対象として、DeFiの一部になる可能性も考えられる」と同氏は語った。「技術の進展、インフラの整備、そして規則や規制の進化には時間がかかる」。

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