「現金はない方がいい。タンス預金をしていると災害で泥棒が入ってお金がなくなってしまうからです」

9月3日から東京で始まったフィンテックカンファレンス「FINSUM」で、ドレミングの高崎義一会長は自身が阪神淡路大震災で被災した際に、自宅や店舗にあった現金を失ってしまった経験からデジタル通貨普及の必要性を強調した。フェイスブックの仮想通貨リブラに関するセッションで発言した。

高崎会長は給料をデジタル通貨に換えて支払いするアプリを開発している。銀行口座などを介さずに、モバイル上でウォレットを作り、完結するシステムだ。サウジアラビアやアフリカなど、銀行口座を持たない人々が多い国で引き合いが多いという。

高崎会長はセッションの中で、デジタル通貨の中でも採用すべきなのは法定通貨のデジタル化か、仮想通貨を支持するのかは明確には発言しなかった。

ただ、ロンドンで金融機関が連携して銀行口座を持たない人に金融サービスを提供するシステムを提案した経験を持つ。リブラ協会のようなコンソーシアムを形成しようと考えていたという。その経験からリブラの金融包摂などの考え方に賛成する。

「リブラが広がってくれたらめちゃめちゃ嬉しい。大歓迎だ」

その一方で、高崎会長は、金融包摂には必ずしもリブラである必要はないとも発言。従来の金融機関と協力してモバイルで決済できるシステムを構築する重要性を再度強調した。