著者 DMM Bitcoin マーケットレポート

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BTC 法定通貨別変動率

Bloombergより当社作成

上図は、2021/1/1から現在まで4通貨の法定通貨別BTC価格を2021/1/1を起点とし、価格変動率を比較をしたグラフである。グラフでは視認性に欠けるため、以下に8通貨の価格変動率を表にする。

上図から、2022年からは法定通貨別のBTCの価値に更なる格差が生じると考えることができるだろう。

代表的なのがトルコリラであり、ドル建てと比較し価格変動率は100%を超えていることがわかる。トルコのエルドアン大統領は、インフレ抑制のために政策金利の引き下げを実行することを公言しており、トルコリラは大きく売られた。

このため、他通貨とのBTCの価値に大きく差が開いたといえるであろう。

しかし、今回注目するべきは円とBTCの関係である。

円建BTCは、ウクライナ侵攻で経済制裁を受けたロシア・ルーブル建の変動率を超える上昇となっており、平たく言えば円がルーブルよりも売られ、価値が低下しているということが分かるだろう

ロシア・ルーブルは、SWIFT(国際銀行間通信協会)から排除され、市場はロシア企業のデフォルトに警戒感を募らせているにも拘らず、経済制裁を受けていない円がロシア・ルーブルに劣っている結果は注目に値するであろう。

米国が金融緩和の出口とインフレ高進を止める金融政策発動で動きだしたが、日本の中央銀行である日本銀行は、インフレ高進する中でも、大規模金融緩和を止めず低金利環境を継続する姿勢をみせている。円がマーケットの独歩安へ傾くのは当然の帰結であるといえるのではないだろうか。

世界はコロナ禍という病に加え、地政学的リスクを抱えることとなり、根強いインフレが恒常化した先に見える未来は、法定通貨の希薄化・価値の減少であると推測することもできるだろう。

著名投資家であり、BTCを所有するレイ・ダリオ氏は今回のウクライナ侵攻を世界秩序を決定する戦争の序章であると指摘している。ドルへのアクセスや西側諸国の金融システムを封鎖することによって経済制裁を実施してきたが、その後のロシア・ルーブルの動きをみると制裁の効果は一時的で、ウクライナ侵攻前に価格変動率が戻っていることがBTC/RUBの動きからもわかる。

今回のロシアに対する経済制裁が失敗となるならば、他国もドルの支配、金融システムから逃れ、基軸通貨であるドルが武器とならない世界、いわば中央集権でないBTCの利用拡大が加速していくことも考えられるかもしれない。

その場合、BTCが法定通貨の代替案としての価値を見出す序章から本編に移行する年になる可能性もあるだろう。

次に暗号資産時価総額とCRB指数から現在のBTCの相場展開を確認しよう。

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