DeFi(分散型金融)の夏は終わったのだろうか。

2020年の第3四半期(7-9月期)の仮想通貨マーケットを牽引したのは間違いなくDeFi銘柄だった。COMPの流動性マイニングを皮切りに次々とDeFiプロジェクトが誕生。バイナンスなど世界の大手取引所が競って上場させた。

メサーリによると、過去30日でDeFi銘柄の下落率の中央値は40%を超えた。過去90日でみると下落率の中央値は3%ほどにとどまっているが、それでもビットコイン(BTC)のパフォーマンスを下回っている。

今年注目されたDeFi第2世代であるヤーン・ファイナンス(YFI)などは堅調な伸び率を維持しているものの、第1世代のメーカー(MKR)やオーガー(REP)は苦戦。ミーム系のDeFiとして注目されたSUSHIなどは大打撃を受けている。

DeFiの苦戦ぶりは、基盤となるイーサリアムの価格の低迷にも現れている。

韓国のブロックチェーンリサーチ企業であるシャングル(Xangle)によると、イーサ (ETH)は9月1日〜9月21日までの間に22%も急落。9%マイナスにとどまったビットコインとの明暗が分かれた。7月と8月にイーサ は78%上昇した一方、ビットコインは15%のプラスでブレーキ。過剰に流入した資金が逆流しているのはDeFiプロジェクトであり、ビットコインには調整の必要はなさそうだ。

(出典:Xangle 「ビットコイン(BTC)とイーサ (価格)」)

一方、DeFiパルスによると、DeFi産業の価値を図る指標として注目されるTVL(ロックされた価値の総計)は、過去90日間でピーク時には632%のプラスだったが、現在は423%のプラスまで下げている。ただそれでもTVLは95億ドル(約9880億円)もある。

DeFiの夏は終わった?

ただメサーリのライアン・セルキス氏は、最新のニュースレターの中で、DeFiの夏が終わったと結論づけるのは時期尚早とみている。

同氏は、2017年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)ブームは決して直線的な上昇ではなく、複数回イーサの20%超の調整があったと指摘。今回イーサが20%調整したのは1回しかないと強調した。

「もし歴史が何らかの道標となるなら、今回の調整が最後にならないということだろう。またそれはパニックになって冬への準備を開始する理由にも必ずしもならない。強気相場はスプリントではなくマラソンだ」

(出典:Messari「2017年ICOブーム時のイーサ 価格」)