オランダの仮想通貨デリバティブ取引所「デリビット(Deribit)」は、機関投資家対象の仮想通貨取引用コミュニケーションプラットフォーム「パラダイム」と提携し、世界で初めて機関投資家向け仮想通貨ブロック取引サービスを発表した。機関投資家がパラダイム上のチャットを介した仮想通貨デリバティブ取引を直接交渉可能で、取引の合意次第デリビット上で約定・清算が自動実行されるという。コイングラフに共有された8月22日付けプレスリリースで明らかになった。
ブロック取引とは、売却希望者と購入希望者で直接取引する「相対取引」において、取引所を介して同一価格で同一銘柄を一度かつ大量に取引する形態を指す。市場で大口取引を行うと、大幅な価格変動が発生する可能性があるが、ブロック取引では(最安の売値と最高の買値による取引を行わず、設定した)同一価格で取引を成立させるため、市場への影響を回避できるとされている。
デリビットの公式ブログによると、従来の取引所は仮想通貨デリバティブ向けのブロック取引機能を提供してこなかったという。機関投資家はテレグラムやスカイプなどを介して大規模な取引を非公開で交渉し、デリビットなどの取引所で手動で取引を実行していたそうだ。デリビットは、このため機関投資家は、特にスプレッド取引およびコンビネーション取引において実行時に大きなリスクにさらされていたと指摘した。
デリビットとパラダイムは、新ソリューションを導入することで、機関投資家はそれらリスクを排除できると考えているという。
デリビットの共同設立者兼CEOのジョン・ヤンセン氏は、オプション取引の場合、機関投資家の利益がさらに大きくなる点を強調した。同氏によると、プットオプション(設定済み価格で購入する権利)とコールプション(設定済み価格で売却する権利)について様々なバリエーションのシナリオを作成可能で、従来のような個別交渉による取引ではなく、先物取引を同時追加したブロック取引が行えるという。
ヤンセン氏は、次のように述べた。
「取引を非公開で交渉し、デリビット上でオーダーブックを自動実行できる機能は、機関投資家の業務における重要なステップだ。リスクを取り除きつつ、市場に影響を与えず顧客と大量の取引を行う手段を機関投資家に提供する」
機関投資家は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)に裏付けられた先物取引およびオプション取引(これら仮想通貨のスプレッド取引を含む)について、ブロック取引を行えるそうだ。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版