分散型金融(DeFi)エコシステムにロックされた資産の総額(Total Value Locked、TVL)が過去最高の180億ドルを突破した。DeFiプロジェクトは仮想通貨をプロジェクトに送金する必要があり、このプロジェクトにロックされた仮想通貨の資産額が増加していることは、DeFiの盛り上がりが継続していることを示している。

(出典:DeFiパルス「TVL推移」)

ただしDeFiパルスが算出するTVLの増加は、DeFiプロジェクトの盛り上がりを示唆する一方で、適切に理解するには補足が必要だ。TVLはしばしば、プロジェクトの評価指標とならないことがあるからだ。

プロジェクトごとにTVLの計算方法が異なっていたり、恣意的に数値を上げているプロジェクト、または該当のDeFiトークン価格のみが上昇しており、プロジェクトが成長していない場合もある。

ダップレーダーが算出する調整済みTVLは、対象期間の初めに資産価格を固定することで、TVLを計算するもので、実際の入金額を正確に計ることに役立つ。

(出典:ダップレーダー「調整済みTVL」)

調整済みTVLから見ると、実際には2020年10月以降にDeFiが成長していないことが分かる。価格を固定した場合にTVLは90億ドルほどで横ばいになっており、これは新規の資産流入がなかったことを示している。通常のTVLはビットコインとイーサリアムの価格上昇に助けられていたことが分かる。

一方で1月4日から5日の間では調整済みTVLが高騰した。これは主に分散型取引所(DEX)スシスワップによるものだ。スシスワップは継続的にSUSHIトークンを報酬として放出を続けている。最近開始された「オンセン」は、主に小規模トークンを含む流動性プールにインセンティブを提供することを目的としている。スシスワップには1日で約2000BTCと4000万Dai、60000ETHが集まった。

TVLが上昇したもう一つの大きな要因はシンセティクス・ネットワーク・トークン(SNX)によるものだ。SNX価格は30%上昇した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン