今年の分散型金融(DeFi)業界は活況を呈しているが、新しレポートによると、トークンの価格は大幅に上昇した一方で、収益は減少していることがわかった。

DeFiにフォーカスしたニュースレター「バンクレス(Bankless)」による第2四半期のレポートによれば、DeFiプロジェクトの第2四半期の収益は前四半期比で42%減少し、約390万ドルになっていたことがわかった。最近多くのDeFi関連のトークンが急騰している中で、意外な結果となった。

DeFi Quarterly Earnings

メーカーダオの収益低下 

大きな要因の1つは、メーカーダオ(MakerDAO)が3月中旬の仮想通貨暴落後に安定化手数料(SF)を0%に引き下げたことだ。Dai貯蓄率(DSR)も以前は8%あったが、メーカーがドルとのペッグを適切に保つために戦った後、ゼロにまで落ちた。仮想通貨暴落時に、ステーブルコインのDaiは1.08ドルもの高値で取引されていたため、DSRが下落し、借り手がより多くのDaiをミントして、市場に売り込むように促した。

この動きにより、メーカーの収益は第1四半期の120万ドルから第2四半期には15万ドルにまで減少した。オアシスDeFi貯蓄アプリによると、DSRは回復することなく、現在も0%のままだ。

Synethixでも収益が減少

Synthetixは第1四半期の収益が過大に報告されていたことにより、DeFiセクターの収益が減少したもう1つの原因だった。レポートによれば、豪州に拠点を置くこのプロジェクトは「デリバティブプロトコルの収益の不釣り合いな報告により、フロントランニング攻撃に苦しむことになった」。

Synthetix側は問題を修正し、四半期収益で約26万7000ドルだったと報告した。第1四半期には200万ドルのと報告されていたが、収益が1桁減少した形だ。

メーカーダオとSynthetixは、今年1月から3月の間にDeFiセクターで報告されていたすべての収益の半分以上を占めていた。第2四半期ではバランスが大幅に変化し、コンパウンド(Compound)やカイバー(Kyber)、dYdX、0Xなどの割合が拡大した。

カイバーは過去3ヶ月間の収益は63万4000ドルとなり、競合の中で最も収益が高かった。コンパウンドが62万5000ドルで、2番手についている。dYdXの収益は62万4000ドル、0xは44万5000ドルの収益だった。

第2四半期のもう1つの注目すべき変化は、5月にローンチしたUniswap V2や、Balancer、Ren、Gnosis、Loopringといった新規参入者だ。第2四半期にはこれらのプロジェクトでプロトコルのアップグレードやトークンのローンチがあった。

DeFiの収益は減少したが、トークンの方は大きなパフォーマンスを見せ、多くはほかの仮想通貨の競合を上回っている。またDeFiユーザーについても、DeFi間で裁定取引のように利益を得るイールドファーミングがブームとなったことも手伝い、第2四半期にかけて増加している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン