イーサリアムのネイティブトークンであるイーサ(ETH)によって100%ペッグされるとされるLidoプロトコルのリキッドトークン、Lidoステークド・イーサ(stETH)が、次の仮想通貨市場の暴落を招く要因になるかもしれない。

ビットコイン投資家で独立アナリストのブラッド・ミルズ氏は、イーサリアムがプルーフオブステークに向かう中でstETHのペッグが今後数週間でETHに対して50%下落する可能性があり、DeFi(分散型金融)の世界で大きなリスクをもたらすと主張している

具体的には、投資家はLidoのスマートコントラクトにETHを預け、イーサリアムを「ビーコイン・チェーン」とも呼ばれるプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンにアップグレードする「マージ」に参加することになる。その結果、彼らはLidoに預けたETHの代わりにstETHを受け取ることになる。

ユーザーはビーコン・チェーンが稼働すると、stETHをステークされていないETHと交換することができるようになる予定だ。さらに、stETHを担保に様々なDeFiプラットフォームを使って借入や流動性の提供を行い、利回りを得ることができる。

しかし、ETH2.0への切り替えが遅れれば、DeFiプラットフォーム全体で大規模な流動性問題が発生する可能性があると、ミルズ氏は主張する。同氏は、最大17%の年率利回りを提供する仮想通貨レンディングプラットフォーム「セルシウス・ネットワーク」を例に挙げる。

「顧客がセルシウスから撤退し始めたら、stetHを売らなければならない」とミルズ氏は説明した。「セルシウスは100万ETHの負債を抱えている」といい、そのうち「288kはマージまでアクセスできず、~445kはstETHで、268kは流動的だ」と言う。

ミルズ氏は「stETHはデペッグしないかもしれませんが、仮想通貨の弱気相場でDeF感染リスクが高い」と警告している。

感染リスク?

さらに、中央集権型イールドプラットフォームでさえ、ETHの負債による破綻リスクに直面する可能性があると、市場コメンテーターのDirty Bubble Media(DBM)は、暗号資産管理サービスのSwissborgを例に挙げて論じている

Swissborgは、stETHでの80%のエクスポージャーを含め、保有する約1億4500万ドル相当のイーサの利回りを毎日提供している。

Swissborg's daily yield offerings. Source: Official Website

同社は、CurveのstETH/ETHプールに保有するイーサのうち、約11,300ETHをステーキングしている。その後、5月12日にテラの破綻をきっかけにETHペッグのバランスが崩れ、stETH/ETHはその日のうちに0.955まで下がった。

Staked Ether to Ethereum exchange ratio in 2022. Source: CoinMarketCap

「Swissborgはどのようにこれらの資産の日次利回りを支払っているのか、ステーキングされたイーサからの利回りは元本と一緒にロックされているのに」とDBMは疑問を呈し、同社が「彼らの全体のstETHポジションを終了」させることができると付け加え、その結果ETHペグはさらに下げる可能性があると指摘している。

ミルズは、stETHの「ダイナミックさは、永久ディスカウントのGBTCと何ら変わらない」と述べた。つまり、市場が弱気に転じ、利回りが消滅すれば、売り圧力は「容赦ない」ものになる恐れがある。

「流動性が高く、裁定取引の可能性がある場合、クオンツ、ウォール街のアライグマ(および)フラッシュボーイは利回りを搾取する。戦略が彼らに不利になると、彼らは容赦なく売り圧力をかけてくる」と、ミルズ氏は言う。

6月9日現在、stETH/ETH比率は0.97まで回復しているが、依然として意図したペグを3%下回っている。

 

 

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