ホワイトハウスの暗号資産政策担当であるデビッド・サックス氏は、米政府が過去に押収したビットコイン(BTC)を売却してきたことについて、「納税者に数十億ドルの損失をもたらした戦略的な誤り」と厳しく批判した。
サックス氏は3月6日のソーシャルメディア投稿で、米政府が過去10年間にわたりビットコイン売却によって3億6,600万ドルの収益を得たことを明らかにした。
「もし政府がビットコインを保有し続けていれば、その価値は現在170億ドルを超えていた」とサックス氏は指摘。「長期的な戦略がなかったことで、これほどの損失を納税者が負担することになった」と述べた。
Source: David Sacks
ビットコイン市場の調査を手がけるUnchainedのリサーチ責任者ジョー・バーネット氏も、政府の短期的な売却判断の誤りを指摘した。
「長期保有者こそが市場を形成する」とバーネット氏はコインテレグラフに対しコメント。「ビットコインは市場のタイミングを計るものではなく、市場に時間をかけるものだ。短期的な価格変動はあっても、その真の価値は世代を超えて築かれていく」と述べた。
1月には、米司法省(DOJ)が、2013年に閉鎖されたダークネット市場「シルクロード」から押収した19万8,000BTCの売却を承認された。この決定に対し、暗号資産コミュニティからは「短絡的であり、ビットコインの長期的な価値創出を考慮していない」と批判が相次いだ。
ただし、米政府は現在も押収したビットコインを保有しており、ドナルド・トランプ氏が2024年11月の大統領選で勝利して以来、その備蓄の扱いを巡る議論が続いている。
トランプ氏は、米国を暗号資産とブロックチェーン技術の世界的リーダーにすることを公約しており、その一環として、ビットコインに特別な地位を与えた戦略的暗号資産準備金の導入を掲げている。
ホワイトハウス初の暗号資産サミット直前の発言
サックス氏がこの発言を行ったのは、ホワイトハウス初の暗号資産サミットを控えたタイミングだった。このサミットでは、20人以上の業界リーダーが招待され、米国の暗号資産政策の優先事項について議論する予定だ。
出席者には、リップルのCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏、ストラテジーの創業者マイケル・セイラー氏、ジェミナイの創業者キャメロン&タイラー・ウィンクルボス兄弟が含まれる。
サックス氏によると、ホワイトハウスは議論を「有意義なものにする」ため、出席者のリストを意図的に絞り込んだという。
Source: Paolo Ardoino
3月7日のサミットで、ホワイトハウスが戦略的ビットコイン準備金の計画を発表するのではないかという憶測が高まっている。さらに、一部の未確認報道では、トランプ政権がビットコインや暗号資産のキャピタルゲイン税を引き下げ、あるいは撤廃する可能性があるとも伝えられている。
現時点でサックス氏が明らかにしているのは、業界代表者がトランプ政権のデジタル資産作業部会と会談するという点にとどまる。