イーサ(ETH)は3月の新型コロナウィルスに端を発する市場暴落以降から高値で取引されているが、市場データをみると、投資家は時価総額で2番目に大きな仮想通貨(暗号資産)であるETHを保有することにほとんど関心がないことを示している。

7月10日にオンチェーンモニタリングを手掛けるグラスノード(Glassnode)が調査結果をアップロードすると、トレーダーの1人は、取引所でのビットコイン(BTC)残高が大幅に減少している一方で、イーサの残高が高いままであることに気づいた。

分析によると、3月以降、取引所でのETH残高は全体的に増加傾向を続けている。同時に、BTCは過去3ヶ月間にわたって取引所の残高が減少している。

「暗黒の木曜日(3月の仮想通貨暴落)以降、仮想通貨取引所におけるビットコイン残高は急速に減少している。一方、イーサリアムの残高は比較的安定したままだ」と、トレーダーは指摘している。

この現象にはいくつかの意味があるだろう。取引所の仮想通貨はより速く取引されており、所有者がそれらを取引所に保管せずに、すぐに売っていることを示唆している。

イーサリアム(ETHをネイティブトークンとするネットワーク)では、現在の分散型金融(DeFi)トレンドも投資家に影響を与えている可能性がある。DeFiはトークンブームをきっかけとした取引を引き起こしている。これらのトークンはイーサリアムのERC-20トークンであり、ETHはトランザクションに必要だ。

ETHはボラティリティが低いため、DeFiトレーダーにとっては適切な「ホーム」資産になっている。

ETH, BTC exchange balance comparison

出典: Samneet Chepal/ Twitter ETHとBTCの取引高残高

「アルトコインの季節」というバズワード

一方、スキュー(Skew)のデータを見ると、ETHとBTCとの相関は短期的に上昇しているが、より長いトレンドではETHはBTC価格の相関はかなり一定であることがわかる。

ETH/BTC realized correlation year-to-date chart

出典: Skew

同時に、アルトコインが成長していくという新しい「アルトコインの季節(altseason)」の議論は、活発になっている。

著名なテクニカルアナリストであるピーター・ブラント氏は、ETH/BTCのチャートに注目し、アルトコインに資金が流入し、「近い将来、多くのアルトコインがビットコインから利益を得るだろう」と述べている

DeFiを超えてズームアウトしてみれば、主要なアルトコインは2年以上前の過去最高値の数分の1にとどまっている。ETHはかつて約1400ドルで取引されていたわけだが、それ以来、これらの高値の20%以上を取り戻すことができなかった。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン