コインベースによれば、仮想通貨市場ではアルトコインは著しい成長をみせており、ビットコイン以外の銘柄への資金シフトが近く起こる可能性があるという。
コインベース・インスティテューショナルのグローバルリサーチ責任者デイビッド・ズオン氏は、月次レポートの中で「9月が近づくにつれ、現在の市場環境は本格的なアルトコインシーズンへの移行を示唆している」と述べた。
同氏は、アルトコインシーズンを「時価総額上位50のアルトコインのうち少なくとも75%が、過去90日間でビットコイン(BTC)を上回るパフォーマンスを示す期間」と定義している。
さらにズオン氏は「マネーマーケットファンドにかなりの個人資金が待機しており、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和は中期的に個人投資家の参加を引き出す可能性がある」と指摘した。
今週発表された7月の米国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.7%となり、予測市場では9月のFRBによる利下げ確率が92%に上昇している。低金利環境は新たな資金を市場に呼び込み、アルトコインのような高リスク資産の上昇要因となり得る。
ビットコイン・ドミナンスの低下が進行
アルトコインシーズン到来を後押しするもう1つの要因は、ビットコインのドミナンス(仮想通貨市場全体に占めるBTC時価総額の割合)の低下だ。
ズオン氏によると、ビットコインの市場ドミナンスは5月の65%超から8月には59%まで下落しており、「アルトコインへの資金回転が始まった初期段階を示している」という。トレーディングビューのデータでは現在59.5%となっており、今年1月下旬以来の低い水準となっている。
仮想通貨デイトレーダーのシモツマ・イト氏は木曜、「ビットコイン・ドミナンスが2021年1月以来初めて月足で弱気のクロスを形成した」と指摘。「当時はアルトコインがわずか4か月間だけ上昇したが、今回同様の動きが起これば2025年12月まで一方的な上昇局面になる可能性がある」と述べた。
アルトコインシーズン指数も上昇
ズオン氏によると、アルトコイン市場の時価総額は7月初めから50%以上増加しているが、アルトコインシーズン指数は依然として75の基準値には達していない。
コインマーケットキャップのアルトコインシーズン指数は7月の25未満から44まで上昇。ブロックチェーンセンターの同指数は中立的な53、クリプトランクの同指数では50となっている。
ETHへの機関投資家需要が牽引
ズオン氏は、現在のモメンタムは企業による仮想通貨保有やステーブルコイン関連のナラティブによって支えられており、アルトコインシーズン指数と市場全体の動きの乖離は「イーサリアムへの機関投資家の関心の高まりを反映している」と指摘する。
「アルトコイン市場の時価総額が上昇し、アルトコインシーズン指数が初期の好転シグナルを示す中、9月に向けてより成熟したアルトコインシーズンへの移行が進む条件が整いつつある」と同氏は結論づけた。
シンガポール拠点のベンチャーキャピタル企業Jスクエアの創業パートナー、ジョアンナ・リアン氏は「アルトコインシーズンが成立するには、好調なマクロ経済環境、BTCドミナンスの低下、新たな強いナラティブという3つの条件が揃う必要がある」とコインテレグラフに語った。
同氏はさらに「過去のサイクルでは明確な触媒が存在した。2017〜2018年はICO、2018〜2019年はレイヤー1、2021〜2022年はDeFiとNFTだった。今回のサイクルでは、大規模な新規資金を呼び込み、本格的なアルトシーズンを引き起こす明確なプライマリーマーケットのシグナルをまだ待っている状況だ」と付け加えた。
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