2022年の第1四半期と第2四半期では、ベンチャーキャピタル(VC)の資金提供を通じて約203億ドル(約2.9兆円)が仮想通貨業界に流入したが、2023年ではその額は大幅に減少している。
今年の仮想通貨業界へのVC資金調達は大幅に減少した。今年の第1四半期には、仮想通貨業界では約26億ドル(約3828億円)相当のVC取引が行われた。第2四半期には、約21億ドル(約3091億円)が292回の資金調達ラウンドを通じて投資され、仮想通貨関連の資金調達において最も悪いパフォーマンスの1つだ。
現在のVC資金調達状況を受けて、コインテレグラフは、仮想通貨投資会社フォーサイト・ベンチャーズのパートナーであるチェン・トニー氏にインタビューを行った。新たなイノベーションが不足していることが、VC企業が仮想通貨業界から離れる原因となっていること、創業者が弱気市場を生き抜くためにどのように行動すべきか、そして企業がユーザーの成長と利益のどちらを優先すべきかについて語っている。
チェン氏によると、レイヤー2ソリューション、ゼロ知識証明、非代替性トークン(NFT)などの話題は「ほとんど終息している」という。彼はこれらが取引所や分散型金融(DeFi)での取引量の減少とともに「かなり下火になった」と語った。彼は「今、多くの人々が直面している最大の問題と障壁は、新たなイノベーションが見られないことによる自信の欠如だ」と語った。
さらに、市場活動とユーザー数が限られているため、仮想通貨分野では「どの方向であっても、あまり大きな牽引力がみられない」とチェン氏は語った。しかし、彼は、マクロ環境が改善し、人々が次の仮想通貨サイクルに対してより熱狂するとき、事態は好転する可能性があると楽観的に見ている。
創業者が条件が期待通りでなくても資金提供のオファーを受け入れるべきかどうかについて質問すると、チェン氏は、この時点で最も重要なことは「生き残ること」だと語った。「もし資本が不足していて、来年あたりまで乗り切るための手段がなければ、可能な限り多くの資金を調達すべきだ。その資金は2、3ヶ月後には利用できなくなるかもしれない」と彼は語った。
彼は、創業者にとって生き残ってゲームに留まることがいかに重要であるかを強調した。さもなければ、過去数年間に行われたすべての仕事は無駄になると彼は言う。
弱気市場の状況下では、「どんな犠牲を払ってでも成長する」というアプローチは意味をなさないと彼は付け加えた。代わりに、企業は利益を上げることに焦点を当てるべきだ。「生き残ることができるようにする必要がある。どんな下落局面でも、生き残ることが最優先事項だ」と彼は語った。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン