分析プラットフォームのクリプトクオントによれば、仮想通貨トレジャリー企業の一部は、上場株式の私募増資(PIPE)による資金調達後、株価が半分にまで下落するリスクを抱えている。
クリプトクオントは市場レポートで、PIPE調達を行った企業の株価は「大幅な下落に見舞われ、発行価格付近まで戻る傾向がある」と指摘した。さらにロックアップ期間が終了した投資家が売却に動くことで、「一部企業の株価は現在の水準からさらに50%下落する可能性がある」と警告した。
PIPE取引は、投資家が市場価格を下回る水準で新株を取得できる仕組みで、仮想通貨トレジャリー企業にとって短期間で資金調達できる手段として広く活用されてきた。
PIPE調達企業に迫る下振れリスク
クリプトクオントは、PIPEが迅速かつ柔軟な資金調達を可能にする一方で、「株価にマイナスの影響を及ぼす可能性がある」と述べた。
「PIPEは流通株式数を増やし、既存株主の持分を希薄化させる。PIPE投資家が売却可能になれば、その新株の売りが株価に持続的な売り圧力(オーバーハング)を生む」と分析している。
クリプトクオントは、PIPEを実施したビットコイン(BTC)トレジャリー企業の株価を調査した結果、多くが大幅下落を経験し、発行価格水準に収束していることを確認した。医療企業からBTCトレジャリーへと転換したカインドリーMD(NAKA)では、PIPE株のロック解除後に株価が1日で半値以下に急落したという。
NAKA株は4月下旬の約1.80ドルから、5月下旬にはPIPE発表を受けて一時35ドル近くまで急騰したが、その後97%下落して1.16ドルまで下げ、「実質的に1.12ドルの発行価格に接近した」とクリプトクオントは説明している。
他の仮想通貨トレジャリー企業にも同様の圧力
クリプトクオントは、他のPIPE調達企業も同様の下落圧力に直面していると指摘する。
ストライブ(ASST)の株価は木曜の取引を2.75ドルで終え、5月下旬の年初来高値13ドルから78%下落している。同社のPIPE価格は1.35ドルであり、「現在の水準からさらに55%の下落余地がある」とクリプトクオントは分析した。ASSTのPIPE投資家は来月に売却可能となり、追加の下押し要因になると見られている。
さらに、トレジャリー企業トゥエンティ・ワン・キャピタルとの合併を予定している特別買収目的会社(SPAC)のキャンター・エクイティ・パートナーズ(CEP)は、PIPE価格を10ドルに設定。株価は最高値から70%近く下落し20ドルを割り込んでおり、「現在の水準から最大50%の下落余地がある」と分析している。
他のアナリストも、確立された仮想通貨トレジャリー企業でさえ、保有する仮想通貨の価値が企業価値に接近していることで売り圧力に直面していると警告している。
クリプトクオントは「ビットコインの持続的な上昇こそが、これらの株価下落を食い止められる唯一の要因となるだろう。それがなければ、多くの企業株はPIPE価格へ、あるいはそれ以下へと向かう可能性が高い」と結論づけた。
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