ロビンフッドのウラジミール・テネフCEOは、現実世界資産(RWA)のトークン化の可能性について語り、それが「驚くべき力」をもたらすと強調した。
テネフ氏は2月25日、ブルームバーグのインタビューで「ソフトウェアの前に座り、コインを作成し、5分で取引を開始できる。それは恐ろしいことでもあり、同時に驚くべき力を持っている」と語った。新規株式公開(IPO)プロセスの煩雑さと比較し、ブロックチェーン技術を使った資産上場の容易さとグローバルな流動性へのアクセスのしやすさを強調した。
さらに「だからこそ、トークン化は非常に興味深い」と述べ、この技術が市場に与える影響の大きさを示唆した。
AI革命への投資機会の欠如を指摘
テネフ氏は、ロビンフッドの個人投資家層が、「これまでで最も大きな技術革命」とも言える人工知能(AI)に十分に投資できていないと指摘した。
「何に投資できるか?エヌビディアやテスラには投資できるが、OpenAIやアンソロピックには投資できない」と述べ、AI関連企業への投資機会が限られている現状を問題視した。
また、トランプ政権が米国を「仮想通貨とAIの世界的リーダーにする」ことを推進することで、ロビンフッドのような米国企業がこれらの技術の可能性を最大限に活用できるようになると述べた。
トークン化の課題と必要な規制の明確化
テネフ氏によると、現実世界資産をブロックチェーンにオンチェーン化させるには、仮想通貨ベースの証券を取引プラットフォームに上場するための基準を明確にするなど、認可と登録に関する規則の整備が必要とある。
また、開示義務も不可欠であり、「例えば、スペースXのように高品質の監査済み財務情報を持つ企業と、より初期段階の企業とを投資家が区別できるようにすべきだ」と述べた。
SECの調査終了で仮想通貨事業の拡大へ
テネフ氏のトークン化に対する積極的な発言は、米証券取引委員会(SEC)が2月24日にロビンフッド・クリプトに対する調査を終了したことを受けたものだ。
SECは、前委員長ゲイリー・ゲンスラー氏の下で、2023年5月にロビンフッド・クリプトにウェルズ通知を送付し、証券法違反の疑いで法的措置を取る意向を示していた。しかし、この調査が正式に終了したことで、ロビンフッドは仮想通貨事業の拡大に向けた新たな一歩を踏み出すことが可能になった。
ロビンフッドは昨年第4四半期に過去最高の10億ドルの収益を記録し、そのうち3億5800万ドルが仮想通貨関連の収益であった。仮想通貨の取引高は前年同期比で450%以上増加し、710億ドルに達した。また、カストディ(保管)されている仮想通貨は前四半期比で75%増加し、3500万ドルに達した。