6月14日:コインマーケットキャップのデータによると、時価総額でトップ100の仮想通貨のうち2つ以外は反発した。先月から低調な相場が続く中、投資家にとっては待ち望んだ小休止となった。本日の反発は、米証券取引委員会(SEC)の高官がイーサリアム(ETH)を有価証券としてみなさないと発言したことが好感された結果だろう。

Coin360

Market visualization from Coin360

 ビットコイン(BTC)は、過去24時間で5.89%上昇し、執筆時点では6688ドルで推移している。コインマーケットキャップのデータによると、BTCの取引高は過去24時間で51億ドルと今週の最低値である38億ドルから大幅に増加した。

 またBTCにとって好材料となったのは、トランプ政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏が、BTCに「結構な投資額」を入れていると報じられたことだ。バノン氏はさらに「嘆かわしい者たちのコイン」という独自の仮想通貨を作るというアイデアまで披露した。2016年の米大統領選の選挙期間中、ヒラリー・クリントン元国務長官がトランプ氏の支持者のことを「嘆かわしい人々」と呼んでいた。

Bitcoin Price Index

Bitcoin price chart from Cointelegraph’s Bitcoin Price Index

 イーサリアム(ETH)は、過去24時間で10%上昇し、執筆時点では518ドルで取引されている。イーサリアムの上昇は、SECの高官が「イーサリアムは米国証券法のもとで有価証券と分類されない。十分に非中央集権化が進んでいるからだ」と発言したことがきっかけになったとみられる。

 SECのコーポレート・ファイナンス部門のトップであるウィリアム・ヒンマン氏は、Yahoo FInanceが開催したサミットで次のように発言した。

「現在のイーサリアムの状況を鑑みると、イーサリアムのネットワークとその非中央集権的な構造から、イーサリアムの取引は証券の取引にはならないと考える」

 イーサリアムが2014年にICOを行った際にSECに届け出なかったことから、イーサリアムは「未登録証券」になるかどうかを巡って過去数カ月間、投資家の間で不透明な状況が続いていた。先週にはSECのジェイ・クレイトン委員長は、ビットコインは、ソブリン通貨の代替手段となっていることから証券ではないという見解を示していた。今回のSEC高官の発言によって、イーサリアムにも厳しい規制は叱れないという可能性が高まった。

 イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)、事実上すべてのICOトークンと異なり、ビットコインが証券として規制されるべきという声は上がってこなかった。

 アジアでも仮想通貨の規制に対する不透明感が晴れつつある。タイのSECは、国内の5つのICOについて5月14日に施行された新たな規制に基づきいつでも資金調達ができる状態にあると認めた。

Ethereum Price Index

Ethereum price chart from Cointelegraph’s Ethereum Price Index

時価総額トップ10のうちEOSの上昇率が最も高く、過去24時間で13%の上昇、執筆時間で11.41ドルで推移している。EOSは現在時価総額で第5位につけていて、今月には1年にわたるトークン・クラウドセールを完了。計40億ドルを集め史上最大のICOとなる見込みだ。

仮想通貨市場全体の時価総額は、執筆時点で2900億ドルと今週の最低値の2710億ドルから急激に増加した。

 

「聞いたか?仮想通貨市場全体がホッとしているよ」

ー(仮想通貨ベンチャーのCEO)バリー・シルバート(@barrysilbert)2018年6月14日

 一方、14日にはファンドストラット・グローバル・アドバイザーのトム・リー氏がブルームバーグとのインタビューで「最近のビットコインの『痛々しい』下落は、CBOEとCMEのビットコイン先物取引の期日を迎えたことが関係しているのではないかと発言した。リー氏が期日が切れた6つの先物取引を分析したところによると、期日が切れる前の10日間でビットコインは平均で18%下落する一方、6日後には回復する傾向があったという。

 リー氏は、ビットコインの擁護者であるが、最近仮想通貨への資金流入が少ないことに懸念を示した。今年はICOやマイナーへの報酬、キャピタルゲインなど「供給が多くなった」にも関わらず、機関投資家の参入などについて「進捗が遅い」と指摘している。

 米国の仮想通貨取引所コインベースは、14日米国在住者向けにインデックス・ファンドを開始した。このインデック・ファンドの立ち上げは3月に発表されていて、純資産100万ドル以上または年俸20万ドル以上の投資家が対象。

取り扱うデジタル資産には、同社が運営するグローバル取引所ジーダックス(GDAX)の上場仮想通貨であるビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4種が含まれる。