米マサチューセッツ工科大学の「デジタル通貨イニシアチブ(Digital Currency Initiative、略称DCI)」がビットコインのセキュリティ研究を促進することを目的とした新しいプロジェクトの立ち上げを明らかにした。「ビットコインソフトウェアとセキュリティ強化への取り組み(Bitcoin Software and Security Effort)」とする研究開発及び資金提供プロジェクトだ。
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DCIはまたブログ記事の中で、ビットコインが「あまり注目されていなかった暗号技術を使ったおもちゃ」から「1兆ドルの価値を有する」堅牢なネットワークへと成長したと指摘。またそこにたどり着くまでには、多くのオープンソース開発者が何百万時間もの時間を投資したからだと無名の開発者たちを讃えている。
オープンソースのこの取り組みは、米仮想通貨取引所ジェミナイのウィンクルボス兄弟、ビットコイン大量保有で有名な米マイクロストラテジー社のマイケル・セイラーCEO、決済大手スクウェア社のジャック・ドーシーCEO、欧州のデジタル資産運用会社大手コインシェアーズなどから支援を受けている。
中でもコインシェアーズは同プロジェクトに50万ドルの寄付を発表。「ビットコインネットワークとその上に構築されたアプリケーションの根底にあるオープンソースのプロトコルを安全に保護し、アップグレードし、維持している何百人もの開発者の仕事の受益者として、デジタル資産業界の営利企業は、独立した中立的な開発努力と、すべてのエコシステム参加者の利益を促進する研究に資金を提供する義務があると考える」とのべた。
DCIが今回立ち上げた研究開発プログラムの期間は四年間。ビットコイン開発者チームを維持していくことや、ビットコイン関連の新しいプログラミング言語の探索、また51%攻撃に対する先制的な調査などに資金が振り当てられるようだ。
DCIでは、所属研究者であるジェームズ・ラブジョイ氏が「ビットコインネットワークに51%攻撃がなされる可能性が以前に考えられていたよりも高い」と警告しており積極的なブロックチェーン監視の必要性を強調してきてきた。今回のプロジェクト始動で具体的に動き出したかたちだ。