仮想通貨(暗号資産)コミュニティの主要プレイヤーたちは、最近の米証券取引委員会(SEC)による「適格投資家」の定義修正について、それをどう評価するのかを議論している。多くの人々は、肯定的に評価しているが、新しいルールでは十分ではないという声もある。
8月26日、SECは適格投資家の定義を「職業認定、指定、資格、または認定教育機関が発行するその他の資格」に基づいて適格投資家としての資格を得ることができると発表した。以前の定義では、適格投資家は純資産が100万ドル、また少なくとも年間20万ドルの安定した収入が必要であるとしていた。今回の定義修正の詳細、たとえば教育機関とは何かとは、今後SECが指定する予定だ。
適格投資家の範囲が拡大されることになれば、デジタル資産のエコシステムにおいても新たな機会を生むと考えられている。つまり、セキュリティトークン・オファリング(STO)に投資する人々の範囲が広がることになる。このため、仮想通貨業界では、SECのルールに大きく注目している。
米国の仮想通貨取引所ジェミナイ(Gemini)の共同創設者であるタイラー・ウィンクルボス氏など、仮想通貨業界のプレイヤーは、SECの発表を歓迎するコメントを出している。タイラー・ウィンクルボス氏は、ツイッターでZ世代の投資家が参入することにつながると指摘している。
Kudos to the SEC for acknowledging that a penniless GenZ’er can be just as sophisticated an investor as a Wall Street Boomer. Wealth does not equal investment acumen, just look at how the Wall Street “experts” missed the #Bitcoin rocket ship. https://t.co/tDpeyfjEQ8
— Tyler Winklevoss (@tylerwinklevoss) August 26, 2020
Zコイン(Zcoin)の創設者であるポラミン・インサム氏は、この変更により、より多くの包摂につながる可能性があり、将来のセキュリティトークン・オファリングにプラスの影響があるだろうと述べている。
「これにより、追加の投資家がこの重要な市場に参入することが可能となり、小規模なプロジェクトが立ち上がるのに役立つだろう」と、インサム氏は語っている。
取引プラットフォームのアップホールド(Uphold)の最高収益責任者のロビン・オコンネル氏は、次のようにコメントしている。
「規制当局が適応しているのを見るのは素晴らしいことだ。これにより、以前は特権的な少数の人々に提供されている投資機会にアクセスすることが増えるようになる」
ただ、すべての人々がSECの決断を諸手で称賛しているわけではない。「確立された明確な財務指標に基づいた」といった新しい定義について、具体的にどの程度の投資家の数が増えることになるのかを見極める必要があるとの声も出ている。またSECの発表の中にある「金融の洗練度」といった言葉がどのような意味を持つかはまだ明確ではない。
ビットコイン支持者のアンソニー・ポンプリアーノ氏は「彼らはついに純資産ではなく知識と洗練度を取り入れた」と指摘し、「これは正しい方向への一歩だが、さらに大きなアクセスと幅広いルールが必要だ」と述べている。
セルシス・ネットワークのアレックス・マシンスキー氏は次のように述べている。
「人口の99%は、この国が提供する最高のイノベーションへのアクセスから除外されている。問題は、規制当局が一般ユーザーが既に行っていることを行うために認定を要求するのか、それともSECが許可を与え続けるのかだ」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン