仮想通貨業界は、規制が厳格化する中でも成長を続けている。大手取引所は、投機的な上場や高レバレッジ取引による急成長を追うのではなく、規制審査に耐えうる免許取得とプロダクト設計を軸に、次のサイクルを描いている。
2026年に向けた焦点は、より堅牢な基盤の構築だ。具体的には、法定通貨オンランプの強化、複数法域での準拠型デリバティブ、ステーブルコインやトークン化のレール構築に移りつつある。
コインテレグラフは、OKXのグローバル・マネージング・パートナーであるハイダー・ラフィーク氏に取材し、大手取引所が来年に向けてどのような準備を進めているのかを聞いた。
オンショア展開を加速
ラフィーク氏によれば、OKXはすでに重要地域のほぼすべてで事業展開に必要な規制上の承認を得たという。
「2026年も規制の明確化は続く見通しだ。主に米国、そして欧州の一部で進展するだろう」と同氏は述べ、これによりデリバティブ事業のさらなるオンショア展開が可能になるとした。
OKXは欧州の暗号資産市場規制(MiCA)に基づき、マルタを拠点にEU域内でライセンス事業を展開している。ドバイでもライセンスを保有し、オーストラリアでは登録事業体、シンガポールでは中央銀行承認の決済事業、米国では多くの州で送金業者として認可されたプラットフォームを運営する。
さらに、ブラジルやトルコなどでも現地法規に準拠した運営を行っており、ラフィーク氏は「同規模の取引所の中では、世界でも最も多くのライセンスを持つ部類だ」と語る。
もっとも、免許取得を進めているのはOKXだけではない。コインベースは米国45州と複数の海外法域で数十の認可・登録を保有し、6月にはルクセンブルクでEU全域対応のMiCAライセンスを取得した。バイビットもオーストリア経由でMiCA認可を得ており、バイナンスも20件のライセンス・登録を抱える。
2026年に向け、OKXの課題は、こうしたライセンスを生かし、地域ごとに最適化されたプロダクトと法定通貨オンランプを提供する点にある。
新たな現金となるステーブルコイン
OKXが2026年に掲げる最初の大きな構造的賭けはステーブルコインだ。世界のステーブルコイン時価総額は2025年に約3100億ドルへ拡大し、テザーのUSDTとサークルのUSDCが市場を牽引している。
ラフィーク氏は、取引所が静かにステーブルコインを利回り付き金融商品へと変えつつあると指摘する。
「銀行に資金を預けると、高インフレ国では実質で8%から40%失うこともある。しかも資金はロックされる」と同氏は述べ、ステーブルコインならロックアップなしで運用できると強調した。
政策金利が中程度の水準まで上昇したことで、利回り型ステーブルコインや中央集権型の運用商品は、過去サイクルの二桁利回りから、概ね4%から8%に落ち着いている。たとえばパクソスのUSDLは2024年に年利約5%で開始され、クラーケンやOKXもUSDTやUSDCの残高に対し約5%の報酬を提供している。
コイン・メトリクスによれば、2025年には取引所上のステーブルコイン残高が過去最高水準、もしくはそれに近い水準に達し、利回りと流動性を両立する商品へのシフトが鮮明になった。
一方で、S&Pグローバルは2023年の調査で、ステーブルコインはデペッグのリスクがあり、無リスクではないと警告している。市場の信認、技術、需給、流動性といった要因にも左右されるという。
欧州中央銀行も、ステーブルコインが世界的な金融安定性を脅かし、ユーロ圏の銀行から個人預金を流出させる可能性があると警告している。
トークン化とRWA、2026年のプロダクト展開
ステーブルコインに加え、取引所は現実世界資産(RWA)のトークン化の波にも備えている。オンチェーン上のトークン化資産市場は、2022年の100億ドル未満から2025年には190億ドル超へ拡大した。21.coの調査では、2030年までに5兆ドル規模に成長すると予測されている。

ラフィーク氏は、RWAは「まだ序盤」だとし、トークン化資産がユーティリティか証券かという規制上の整理が進めば、企業は本腰を入れるようになると語る。そうなれば、商品、株式、金や銀といった資産がオンチェーン化され、取引所で取引可能になる。
a16zの調査では、米国のZ世代とミレニアル世代の約半数が過去1年に仮想通貨を保有、または取引した経験を持つ。若年層にとって、仮想通貨は株式投資と同等の存在になりつつある。
このためラフィーク氏は、トークン化株式やRWAは取引所アプリに組み込むべきだと考える。若い世代が主要市場として使う場所に、伝統資産を持ち込む狙いだ。
ビットコインの先行きには慎重姿勢
OKXの戦略を支えるのは、ビットコインの将来に対するより慎重な見方だ。ラフィーク氏は、BTCは誇大な期待よりも、米国債利回りや金利見通し、株式市場との相関といったマクロ要因に強く結びついてきていると見る。
「突拍子もない価格を言うつもりはない」と、2026年のビットコイン価格予想について語った。
弱気シナリオでは約9万ドル、金利低下と流動性回復が進めば15万ドルから20万ドルのレンジを想定する。一方で、極端な強気予想は個人投資家を誤導する楽観論だとして退けた。
「誰にも大損してほしくない」と同氏は述べた。
この考え方が、来年のOKXのプロダクト戦略を規定する。仮想通貨を一攫千金の宝くじではなく、安定した現物、デリバティブ、RWAのフローを生むマクロ資産として扱う姿勢が、ライセンス取得済み市場での展開を後押しする。
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