ここ数年エンタメの世界で仮想通貨やNFTを使ったトークン化の傾向が高まっている。特に仮想通貨をテーマにした映画制作で活用されるケースが目立つ。
例えば今月公開されたスペインのドキュメンタリー映画「ブル・ラン(強気相場)」だ。
「金持ち父さん貧乏父さん」で有名なロバート・キヨサキも登場する軽快なドキュメンタリー作品となっており、ニューヨークで開かれた米最大のドキュメンタリー映画フェスティバルで公開された。
同作品は2021年9月にわずか24時間で32万ユーロ(約5600万円)を調達。アナ・ラモン・ルビオ監督によるこの作品は「トークン化された史上初の映画」とされた。
同作品のプロデューサーは「これまでは映画製作資金を調達するのに4年かかったが、ブロックチェーンを使ってたった1日で資金を集めることができた」と語る。
同映画はBULLトークンを発行。購入者は作品公開後の利益に対する権利を有することになる。
仮想通貨BULLをもっている人は、ブロックチェーンを介して配布される利益を保証される他、プレミアへの招待やプロデューサーとしてのクレジットなどの特典が付く。また最大の出資者には映画の様々な箇所で再生される60秒の放送時間が与えられ、何でも好きなことを言う権利が与えられた。
同ドキュメンタリーは2021年後半の仮想通貨強気相場の最中に撮影が開始された。友人に仮想通貨を紹介された主人公(同作品監督)がはまり、しまいには家族に治療を懇願されるまで仮想通貨中毒になってしまう話だ。主人公の取引への執着と、それが彼女の生活にどのように影響を与えるかに焦点を当てている。
「ブルラン」は驚くほどユーモラスで全体的に軽快だが、監督の個人的な生活に深く潜り込み、仮想通貨取引が夫との関係にどのように影響を与えたかを探る。
2022年にすべてが崩壊する中でルビオが追うのは、仮想通貨のもつ意義だ。最初は投機的な資産として見ているが、バブル崩壊後にその存在意義を再評価し、既存の中央集権的なシステムを改善していくまでの「気づき」の物語だ。
同作品監督はコインテレグラフの取材に対し「主にビットコインを信じている。<中略>他にも非常に興味深いプロジェクトがあるが、それらがどうなるかはわからない。もちろんビットコインがどうなるかもわからないが、成功すると信じている。だから今はビットコインのホルダー(長期投資家)だ」。
「2025年に新しい強気相場が始まったとき、私がまた仮想通貨トレーダーになるかどうかはわからない。今後自分の仮想通貨中毒がどうなるかは気になるところだ」と締めくくった。

「ブル・ラン~史上始めてトークン化された映画」アナ・ラモン・ルビオ監督 スペイン語作品
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