先月末にグーグルが量子コンピューターを開発したと報じられた。現在最も強力なスーパーコンピューターが約1万年かけて行う計算をたった3分と20秒で計算できるグーグルの量子コンピューターは、暗号技術に頼るビットコインに脅威となるのか。既報の通り、ビットコイン・コアへの貢献で知られるピーター・トッド氏が「グーグルの量子コンピューターはまだプリミティブな状態であり暗号を破るほどではないため、何も意味しない」と主張した。

だが、安堵しているのも束の間かもしれない。

英紙インディペンデントによると、サイバーセキュリティ企業セクティゴのティム・カーラン氏は、量子コンピューターはチャットアプリや銀行取引など暗号技術に頼る現在のシステム全体に大きな影響を及ぼすという見方を示した。

「いつ量子コンピューターがRSAやECCを破る域に到達するかを確実に予測することは誰にもできないが、多くは10年~15年のうちになされるとみている」とカーラン氏は解説。「我々の金融、商業、コミュニケーション、運輸、製造、エネルギー、政府、医療は、現在意図されている通りに機能しなくなるだろう」と警告した。

RSAは、公開鍵暗号アルゴリズムの1つだ。ECCとは楕円曲線暗号という暗号アルゴリズムだ。

現在の社会は、暗号技術によって我々のデータを犯罪者やハッカー、スパイから守ることで成り立っている。もし量子コンピューターが現れたら、暗号技術による防御の前提が崩れ、「量子アポカリプス」が訪れる可能性があるというのがカーラン氏の立場だ。

ビットコインも公開鍵暗号を採用している。量子コンピューターによって、公開鍵から秘密鍵を計算できてしまうという警告も出ている

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