仮想通貨(暗号資産)取引所コインベース(Coinbase)に新しく上場することで、特定の仮想通貨が上昇するという「コインベース効果」。仮想通貨データ分析企業のコインメトリックス(Coin Metrics)は、その効果は限定的なものだと指摘している。

コインメトリックスは23日にコインベース効果の影響について調査したレポートを公開した。

レポートによれば、コインべーズへの上場発表直後には資産価格にプラスの効果があるものの、その効果は一部で言われているよりも「抑制的なもの」だと結論付けている。

対米ドル、ビットコイン(BTC)、イーサ(ETH)を比較し、コインベースの上場発表前後10日の値動きを調べた結果、-1%~+14%の範囲で変動していた。

OmiseGo(OMG)の上場が発表された際には、対ドルで144%のプラスとなっているが、コインメトリックスはこの数値は「外れ値」だと指摘している。またテゾス(XTZ)やチェインリンク(LINK)も対ドルで50%超の上昇となっていたが、OMGと同様の評価をしている。

レポートでは16の仮想通貨を調査したが、そのうち6つは取引所に上場してから10日後にマイナスの価格パフォーマンスとなっていた。3つは5%未満のパフォーマンスとなっていた。

「検討中」による効果は市場トレンド次第

コインベースが、検討中の上場候補の仮想通貨を発表した時の効果についても調査している。「検討中」と発表されたことによる直接的な影響は「少ない」と述べている。むしろ「発表時の市場トレンドが大きく関連する」と指摘している。

2018年後半の弱気相場で「検討中」となったコインは、一般的に下落傾向にあることがわかった。2019夏の「フラットで不安定な市場」で発表された際には、上昇と下落の両方のケースがあり、一貫性がなかった。そして2020年第2四半期の「メルトアップ」市場では、平均してわずかな上昇がみられた。

レポートでは次のように結論付けている。

「コインベースは最大の『リテイル』オンランプであるという業界のコンセンサスにより、コインベースへの上場は、資産に対してある程度の重要な影響をもたらすはずだ。しかし、上場のインパクトに影響を与えるもう1つの重要なファクターがある。それは市場環境だ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン