ビジネスにおいて、プライバシーや秘密を保つために中国政府やCIAなどからのスパイ行為を回避する方法はあるのだろうか?

今回コインテレグラフはSafe Exchangeのコアデベロッパー兼創設者であるDaniel Dabek氏に意見を伺った。

暗号通貨との出会いや、現在どのような関わり方をしているのか、素晴らしいお話をコインテレグラフに寄せてくれるデベロッパーがたくさんいるが、今回は、Safexの創設者でコアデベロッパーでもあるDaniel Dabek氏をゲストにお迎えした。

彼がSafe Networkに初めて出会ったのが2014年の6月、Paige Peterson氏に会った時で、Paige氏は当時MaidSafeで働いていて、Daniel氏はその時にSafe Networkのプラットフォームがこれからどれだけ重要になってくるのか、その重要性に気づいたのだという。

つまり彼はそのスタートアップ作りが実現可能なものであると知っていて、最初は無視していたとはいうものの、状況を的確に判断し見事な判断力で雇用されるに至ったのだ。

実はDaniel氏にはCitiBankの株取引で小さな成功を収めた実績がある。その時にメキシコでビットコインに出会ったのだそうだ。しかし彼が実際にその専門知識を応用し始めたのはサンフランシスコに移住した時で、それからまもなくして、MaidSafeとSafe Networkを発掘するに至ったのだという―彼のウォールストリートでの取引の実績と専門知識が生かされるプロジェクトであるはずだ。

 

コインテレグラフ: 元シティバンクの株式トレーダーによって問題が解決されるとは感慨深いですが、どのようにして、CIAによる中国やアメリカ国内におけるスパイ行為を避け、ビジネスにおけるプライバシーや企業秘密を守ることが出来るのでしょうか、本当に可能なのですか?

 

Daniel Dabek氏 (以下DD): ええ、まさにそれが事の一端です。まずプライバシーがユーザーの手にあり、暗号通貨が瞬時に送金されれば、ユーザーの個人情報が漏えいするといった恐れを取り除くことが出来ます。透明性は。関係者に依存していますし、その水準は事前によく知ることが出来ます。例えばもし誰かが配送先の自分の住所を知りたければ、どこに送ればいいか聞くだけで済んでしまいます。今日のインターネットのシステムにおいては、IPアドレスと非公開のメタデータによって人々の安全やデジタルデータの安全性が危険にさらされていますし、そして物理的にも、住所が知られてしまえば危険にさらされてしまいます。このようにユーザーや組織の情報は漏えいしてしまい、純粋にデジタルな方法でドアがこじ開けられ、誰にでも侵入することが可能なのです。

 

「もし売り手にだけ物理的な住所を教え、他の誰にも教えていなかったとして、後に自宅のコンピューターがハッキングされてしまったとしたら、それは売り手があなたの情報を収集していた可能性がある、ということです」

 

コインテレグラフ (以下CT): プロジェクトについて教えて下さい。主な目的はどのようなのなのでしょうか?

 

DD: まず、Safe Exchangeは、大事なものをセールスやメッセージを通して人々が送り合いデジタルに契約を結ぶことができるマーケットプレースです。全てのプロセスが、政府など中央集権型の組織による取引の検閲をされることなく行うことが出来るバックエンドに基づいていますので、このセーフネットワークを構築することが出来ます。個人間で直接契約の安全性を保証し合うことが出来るというわけです。加えて、セーフネットワークには公開元帳がありませんので、ユーザーの取引は外には漏れませんし、参加者の間のみで取引を閲覧することが出来ます。決して、サービスやネットワークが、ソフトウェアが攻撃されるような可能性のある情報を処理することはありません。

つまり人々が個人の位置情報を明かすことなく、買いたい商品を購入することができるということです。例えば、自宅からクレジットカードで品物を購入し、仕事場に届くように注文したとします・・・そうするとあなたの住居や仕事場の住所はバレバレになってしまいます。同じトークンを使っていますからビットコインにもまた欠点がありますが、ここが肝心です―もし、Amazonで商品を買い、自宅の住所を秘密にするために仕事場に届けるように注文した場合、これは自宅からでも出来ます。売り手はあなたがどこからビットコインを送金して、いくら持っているのか、どこに住んでいて、将来的にビットコインを持ってどこにいくか、といったことを知ることになるわけです。

 

CT: インターネットは徐々に分散型の形をとるようになると思いますか?

 

DD: 私は、特定の団体によって運営されインターネットが大きなデータセンターやノードなどに集中的に集まり、トラフィックが集計できてしまうような形になってしまっていることを除けば、インターネットは既に部分的に分散型の形を取っていると思います。

インターネットには全てのデータをルーティングする仕組みが必要になってしまいますし、少なくとも中央ハブを通過する際には、データは公開されることはありません(言い換えると、データは暗号化されていて、ハブマスターにもアクセスすることが出来ないということです)

これによりユーザーが守られますが、同時にインターネットハブが形成しづらくなると思います。私はAT&Tの1兆ドルもの資産について考えています―ビットコインのようなソリューションがあれば、人々がそれぞれのコンピューターを自宅で稼働させることで、ネットワークをメンテナンスすることができます。かつては、ガレージからISPを稼働させていたものです。今そういったものがまた必要になってきていますし、それがマイニングが必要な分散型のスペースだということも理解しています―しかし、同時にデータやその送信されたデータの内容については知ろうとしないことが大事だと思っています。

 

CT: 大きな取引を秘密裏に行った場合はどうなるのでしょうか?秘密にしておくことはできますか?

 

DD: 大きな取引をして、秘密にしておきたいという場合ですか。それは情報を私的に利用し独占したい、と願うようなものです。例えば公にトレードしている企業やその広報などは収益などを公開していますし、最近では3,100万ドルがインサイダー取引でやり取りされたケースがハッキングによって明るみに出ました。(2015年の8月のことです)

もしあなたが中国に住んでいたとしたら、世界中のハッカーや諜報機関たちによってあなたの個人情報は監視され、アメリカに住んでいればCIAによって監視されますし、皆があなたのことを監視しています。しかし非営利団体や政府による情報公開を求められて公開せざるを得ない場合を除けば、人々には個人情報が守られるべき権利がありますし、特に取引をする際やビジネスをする際はそれが必要です。

「沈みゆく船を救い出し、人権からプライバシーまで守るということであれば、弊社のソフトウェアも同じくその考えを尊重します

ですから元帳に頼らないソリューションなしには、私たちは市場で真の意味で自由であることは出来ないのです。何故なら、私たちの全ての暮らしやデータが、お金に余裕のある人や、ブロックチェーンの元帳システムを利用したサービスのユーザーなどであれば誰でもそれが商品となり取引することが出来るからです」

 

問題は、利用するメカニズムのその中に存在しています。ビットコインは安全で公的にトレードをする手段の一つですが、イーサリアムと同じく100%全て公開されています。ニューヨーク証券取引所は、中央集権型で、意図しない情報漏えいやインフラ上のリスクにさらされていますが、企業の株式を公開する公的な場所です。(2010年のフラッシュクラッシュを思い出してください)早急に、単独でメンテナンスを行われなければならないようなシステムを使わないソリューションが必要ですし、情報漏えいが起こらないようなシステムが必要です。今のところ実現はしていませんが、努力し続けるべきです。

 

CT: 現行のスタートアップはユーザーにどのようにセキュリティを提供しているのですか?

 

DD: XORはストレージネットワークを混合することで暗号化されたファイルをより解読しづらくすることに成功しました。暗号キーを持っていれば誰でも全てのデータにアクセスできるようなビットトレント的仕組みです。つまりどのようなアクティビティも複雑に暗号化されたプロセスを経ることで、ファイルの持ち主の認証なしには実際のデータや情報を改変できない場所に保管することができるということです。