イーサリアムを基盤とした人工知能(AI)プロジェクトである「SingularityNET(シンギュラリティネット)」が、中国最大手級の保険会社「中国平安保険」とAI分野での連携をしていくようだ。公式ミディアム上で発表した。シンギュラリティネットは、人工知能が必要とする大量のデータをブロックチェーン上の分散型プラットフォームで売買できる市場(マーケットプレイス)の開発に取り組むスタートアップだ。

「AI分野でリーダーになる国が、世界の支配者になる」と言ったのはロシアのプーチン大統領だが、今後、米国等による先端技術の輸出規制やデータプライバシー意識等の高まりにより、AI間でのデータの共有に課題がでてくる可能性がある。その際に分散型のプラットフォームでAI向けデータのやり取りに流動性を持たせようというのがシンギュラリティネットの考え方だ。米国から警戒される中国の国有企業である平安保険としても、分散型のデータ市場に食指を伸ばしておきたいのは戦略的な流れだろう。

今回の提携は、まずは光学文字認識(OCR)、AIによる画像・動画認識、AIを訓練するモデルトレーニング等にフォーカスし、徐々に協業範囲を広げていくという。

ちなみにシンギュラリティネットは先月28日にAI向けデータのマーケットプレイスのベータ版を立ち上げている。

中国平安保険グループはフィンテック分野での投資に積極的な金融機関として知られる。同グループ傘下の平安銀行は昨年11月、ブロックチェーン等の先端技術を活用した銀行を立ち上げると発表。また、海南省三亜市政府と提携しブロックチェーン、生体認証を始めとする様々な技術に基づいたスマートシティ建設を目指すとしている。